2024年4月21日日曜日

オーダースーツSADAでスーツを作ってみた感想(忖度なし)

 廉価をセールスポイントにしているオーダースーツのお店はたくさんあります。
もちろん私のイチオシのビッグヴィジョンさんにように、実際安くて良いものを提供してくれるお店もたくさんあると思います。

そんなお店を開拓するために、ちょっと有名店でスーツを作ってみる実験的な試みをしてみました。
作ってみたのはオーダースーツSADA。お店も結構たくさんありますしHP上でも2万円を切る価格を謳っており、若者向けのお店だとは思うのですが、どこまでの実力なのかチェックしてみました。
最近メディアへの登場機会が多く、雑誌やテレビで目にする機会が増えた会社ですが、決して新興ではなく創業60年以上の老舗で、本社も千代田区岩本町(テーラーが多いエリア)です。お店の増え方を考えると決して斜陽企業ではなく、むしろライジングサンのように成長しています。つまり、商売がうまいか顧客を離さない魅力があるということ。後者あれば良いのですが、前者であれば2回目はないつもりで実験していきます。


前置きが長くなりましたが、今回のテーマは「夏でも暑くないシックなスーツを極める」ということで、生地はErmenegildo Zegna(ゼニア)のCOOL EFFECT(クールエフェクト)を選択しました。




























これがなかなかの優れもので、肌触りはサラッとしているのですが絶妙な柔らかさを維持しています。また、太陽光を反射するような特殊な加工がされているらしく、陽光眩しい季節に着用してもダーク系の生地でも色による帯熱を感じません。
さすがZegnaが「Cool」という言葉を使って清涼感を印象付けているだけのことはあります。

こちらが全体像です。
いつも通りシングル3つボタンで、色は黒に近いダークグレーです。
チャコールではなくダークグレー、ネイビーではなくグレー。うーん、不満です。
これはダーク系のCool Effectがこれしかなかったからなんですが、本来であればダーク系だけで2種類くらいは欲しいところでした。




























夏用に作ってますので当然ですがベスト無しの2ピース(ジャケット背抜き)で、諸般の事情でチェンジポケットや切羽も付けませんでした。「諸般の事情」については、最後に言及したいと思います。

パンツ裾はダブルで仕上げたのですが、裏地が若干波打っており、その分だけ着用時に開口部分が微妙に広がってしまう...。他のショップでも時折見られる現象なんですが、初めてオーダーするショップで発生すると印象は悪いです。
マシンメイドなのですが、機械を操作するのは人間なので技量が出てしまう分ではありますね。




























勿論、個体差(担当者の力量の個人差)なのかもしれませんが、こういう細かい部分はマシンメイドでも徹底して修正してほしい点です。また、裏地と表地のツラが揃っていない部分も多少見受けられ、縫製に関しては及第点には達しませんでした。

切羽ではありませんが、ジャケット袖口のボタンの縫い付けは良い感じに縫い付けられています。また、開口はしていませんがダミーのボタンホールもきれいな仕上がりで、このあたりは満足しています。




























それ以外のラペル周りの縫製もきれいに仕上げられており、芯地のスタンド具合は甘いですがマシンメイドにしては十分合格ラインを超える出来栄えと言えます。
手練れの職人の手縫いでなければスーツのラペル周りを立体的に仕上げるのは難しいので、パターンオーダーのショップで要求してはいけませんね(苦笑)。

接客について少し記載しておくと、比較的若い人が接客してくれたのですが、嫌な感じはしませんでした。
こちらがスーツに詳しいと気づくと、大抵の場合は①嫌な顔or困った顔をされる②卑屈な態度をとる の2択なんですが、そんなことは全くなく、明るい感じで「スーツお詳しいですね!」と接客してくれました。また、細かいリクエストにもなるべく無料で対応しようとしてくれたり、確認に時間がかかっても焦ることなく落ち着いた接客で安心して話せました。
おそらく初めてスーツを作る若者でも安心して任せられるでしょう。むしろ初心者は任せてしまえば楽かもしれません。


まとめとして書かせていただきます。
前半で書いた「諸般の事情」の答え合わせが、今回の実験の最終的な解答になっています。
思っていたより価格が高すぎる。
つまり、生地代やオプション代が高すぎて、最低価格以上のものに手が出ません。
生地はどうしても好みのものが欲しかったので(というか、それを我慢したらスーツを作る意味がなくなるので)その料金は我慢しましたが、オプション代に関してはいかんせん高価すぎて切羽でさえつけられませんでした。
HP上で大々的に価格を訴求しておきながら、生地のバリエーション(ブランドやモデル等)を載せておらず、詳しい人間が自分の要望をそのまま実現しようとすると、生地は相当高い&オプション代はもっと高い、結果として高額となってしまうでしょう(ビッグヴィジョンの2倍くらいの印象)。

20代前半の初心者サラリーマンが最低価格(約2万+税)でオーダースーツを作るのであれば選択肢としては最適解の一つになるとは思います(勿論、生地の選択の幅は狭いです)。ただ、エントリー層以外の人たち、例えばオーダースーツを数着持っていて、少しは生地やスタイルにこだわりを持っている(or持ちたいと考えている)人たちには不向きです。

なので、「オーダースーツSADAは価格に釣られて行くならいいが、賢く良質なスーツを買いたい人が行ってはいけない」というのが私の感想です(辛口)。

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