2018年10月1日月曜日

A.P.C.のNew Cure Homme(ニューキュアオム)はどれくらい縮むのか

A.P.C.(アーペーセー)とは、Atelier de Production et de Creation(製品と創造のアトリエ(工房)?) の略語で、A.P.C.。フランス人デザイナーのジャン・トゥイトゥ氏が1987年に立ち上げた比較的若いブランドです。 世の中的にはかなりデニムの評価が高いんですが、デニムについては色落ちを存分に楽しみたい私は、「どうせ外国産の生地を使ってる運だろうな」と、勝手に敬遠していました。 自宅近くにA.P.C.のショップがあって時々立ち寄るんですが、価格帯としてはデニムが2万円台半ばくらいなので、「これだったら児島産のそこそこのモデルが買えるなぁ」と手が出ませんでした。 ただ、買うのであればこれかなと考えていたNew Cure Homme(ニューキュアオム)というモデルが廃盤になると聞いたのと、お店のスタッフさんが「生地は国内(児島)の生地を厳選しています」と言っていたのをと信じて試しに買ってみようと思って入手しておいたのが、こちらの商品です。




しかも2年くらいお店の倉庫に眠っていたデッドストックだったので、ショップ独自にセール特価で販売していて、相当安価に入手できました。
今まで他のデニムを「育成」する為に着用機会が無くてお蔵入りになっていたんですが、そろそろ穿き始めようと思って洗いをかけてみました。いわゆるリジッド(未洗い)なので、洗ったらどれくらいサイズに変化があるのか(縮むのか)、検証してみました。


ミニマルでユニセックスなデザイン標榜しているだけあって、ご覧の通りシンプルな見た目です。



















パッチどころか、ブランドの特徴を出す唯一と言っていいポイントであるバックステッチもありません。この辺はシルエットで勝負している感があって好感が持てなくもありません。
唯一の主張は、裏地に縫い付けられたブランドタグとシンプルなボタンやリベットくらいです。


とは言ってもシルバーですので目立っているわけではありません。

ブランドタグも穿いてしまえば見えないですしね。

驚いた点は2点あって、一つはセルビッジデニムではなかった点。

ご覧の通り、耳がありません。
すっかりセルビッジに慣れてしまっているので、耳が無いとちょっと拍子抜けです。made in Macauなので、もしかしたら旧式の織機が無いのかもしれませんね。もしくは単にコスト削減の一環か。着用していてもセルビッジかどうかは分からないので、余り気にする点でもありませんが、大きく捻れるのと強度が減ってしまうのが問題点です。 ※後から聞いたのですが、A.P.C.デニムはは実際には数年前から全てセルビッジ化しているとのことです。



もう一つは、このジーンズは一応スーパースリム、スキニーという設定なんですが、テーパードがかかっていない(むしろフレアー?)点です。

実際には膝下の幅が変わらないだけなんですが、実はこれがA.P.C.独特のシルエットを生みだす妙味なのかもしれません。
この「テーパードがかかっていない」点が、大きな利点になるとはこの時点では気づきませんでした。 いざ糊落とし。 それほど糊は付いていませんが、念のため洗剤にはサムライジーンズの雷石鹸を使用して、家庭用洗濯機で15分ほど洗濯して乾燥はかけませんでした。

十分な丈があったんですが、股下が縮みすぎるのが一番困るので、いつものとおり逆さ吊りで2日間ほど室内干しした結果の縮み具合が以下の通りです。








結果としては、ほぼ公称値。
糊落とし前糊落とし後収縮率
ウエスト(外周実寸)86cm83cm3cm(3.5%)
股下93cm88cm5cm(5.4%)
股上(前)26cm24.5cm1.5cm(5.8%)
股上(後)35.5cm33.5cm2cm(5.6%)
渡り(0cm)30cm27.5cm2.5cm(8.3%)
渡り(15cm)23cm22cm1cm(4.3%)
裾幅19cm18.5cm0.5cm(2.6%)
ウエストは外寸を測りましたが、内寸はー3cm程度とお考えください。 そもそも一般的にリジッドのデニム生地(生デニム)は、綿に含まれている油分が落ちて糸間の隙間が締まるので縮むとか、生地の製造工程で引っ張られたデニムが元に戻るから縮むとか言われていますが、いざしっかり計測してみると結構縮むことに驚きです。 収縮が最も大きかったワタリ部分については、計測時のズレも考えられるので参考程度にお考えください。 概ね3−5%程度の収縮率ですが、あと2−3回の洗濯で更に1−2mmは縮むのでしょうね。 室内干しが完了して実際に穿いてみて驚きました。膝下のテーパードが少ない分だけ「大分フレア感があるのでは?」と恐れていたんですが、案外スッキリしています。 まあ裾幅が18.5cmなのでパンタロンみたいな感じにはならないと思っていましたが、前述の思わぬ「大きな利点」が発見できました。 テーパードがかかっていないので、ブーツの履き口が裾に引っかからないのです。 足を組んだりしゃがんだりしても、常にブーツの履き口が裾に収まっている! 他のジーンズだと、立ったり座ったりする度に裾に引っかかったブーツの履き口を裾に収めるという動作が必要です。 ただ、このA.P.C. New Cure Homme(ニューキュアオム)に関しては、それが全くありません。 これは私にとっては相当に利便性が高いです。 また、他の履物(スニーカーやローファーなど)との相性も良くて、この辺はさすがA.P.C.だなと感心せざるを得ませんでした。
色落ちの具合はまだ分かりませんが、シルエットについては、ほぼ100点です。世の中的にここまで評価が高い理由が分かります。何か一般的なジーンズを模倣したとかではない、A.P.C.ならではの解釈と創造がそこにはあると感じます。standard(スタンダード)とかNew Standard(ニュースタンダード)とか、シルエットのバリエーションはそこそこ揃っているので、他のシルエットのものもいずれは試したいと考えています。
私が感じた問題点としては、ベルトループが狭い点です。
鬼デニムと比較すると一目瞭然です。

左がA.P.C.で右が鬼デニムです。
少し肉厚のレザーベルトは2周目を入れるときに相当キツかったです。

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