2024年3月27日水曜日

Big Vision(ビッグヴィジョン)でパターンオーダーしてみた感想(その3)

 スーツ好きあるあるですが、同じようなデザインで同じような色で同じような柄のスーツを作ってしまいがちです。
私もご多分に漏れず、「濃紺、細身、3ピース」のスーツが多数あり、バリエーションの少なさに困ることがあります(自業自得ですが)。

そこで今回は意図的に普段は選ばない色調で生地を選んでみました。
ビッグビジョンさんは価格の割には生地のラインナップが多く、モノによっては時期によってなかったりするものもあるので注意が必要ですが、価格と自分のイメージを伝えればいい感じのものを探してくれるので便利です。そして別店舗にも捜索の手を広げてくれるので親切すぎます!

写真では分かりづらいと思いますが、グレー基調でうっすらとバーズアイっぽいラインが入ったものを選びました。




























「バーズアイ」=bird’s eye つまり「鳥の目のように小さい格子状の柄」を意味しています。遠目には認識できないけれど、柄が入っているのは認識できるレベルのさりげない柄がトラディショナル感を醸成してくれます。
元々はイギリス貴族が狩りに行く際に着るハンティングジャケットに多用されていたらしいので、バーズアイ自体は定番と言えば定番で、単に私が持っていなかっただけで世の中的には結構流通している柄ですね。

色調と柄はいつもとは全く違うものにしたのですが、それ以外のスペックは自分なりの定番で「3ピース、丸台場、チェンジポケット付き、細身」に仕上げています。




























ご覧の通り丸台場のラインもきれいに仕上げられており、ビッグヴィジョンさんの縫製力の高さを感じます。
生地ラベルが写っているので少し生地に触れておきますが、CANONICO(キャノニコ)のSuper120'sです。ただ、体感では100-110程度です。おそらく生地自体が柄を出すための織り分だけ厚みがあり硬さが出ているためだと思いますが、単純に「硬い」わけではなく、印象としては「芯がしっかりした柔らかさ」といったイメージです。
裏地はブルーシルクで落ち着いた印象にまとめました。少し派手目な色にしようかとも思いましたが、エンジとか白系にすると礼服っぽくなりそうだったので、抑え気味にブルーを選択しました。




























いつもお世話になっているビッグヴィジョンさんですが、唯一の不満はベストの仕様を決める際に必ず身頃の高さ(ボタンが付いている部分の高さ)を注意される点です。
私は高め(つまり喉元にベストの前身頃が近づいてくるイメージ)が好きなので、それを伝えるのですが、毎回「ボタンの間隔が空いてしまいますけど、大丈夫ですか?」と聞かれます。ご覧の通りそこまでスカスカ感もなく、個人的に違和感もないので毎回同様のオーダーをするのですが、毎回「大丈夫?」と聞かれます。おそらく教科書通りの接客なんでしょうが、「いい加減に覚えてくれー」と思います(笑)。

パンツ裾もいつもとは違い、シングルにしてみました。
トラディショナル感を出すためにダブルにするか相当迷ったのですが、シングル仕上げのスーツがあまり無いので、バリエーション優先でシングルを選択。ちなみに「細身」という部分は譲れず、今回も裾幅は18cmにしてもらいました。




























結果としては、ビッグヴィジョンさんにしては珍しい縫製ミスがあり、ウラ当ての生地が少し見えているような仕上がりになってしまいました(写真で見ると分かりづらいですが、左側部分の線が二重になっているところがそれです)。
ダブルであれば防げたわけではないと思うので、単に縫製担当者の技量が低かっただけだと思うのですが、ここまでノーミスで毎回オーダーをこなしてくれたビッグヴィジョンさんとしては残念な結果です。
接客してくれたスタッフさんからは「無料で修繕します」と言われたのですが、そこまで目立つ部位でもないので、そのまま受け取ってきました。

袖口は本切羽ですが、ここは糸のほつれなどは無く、全く問題はありません。




























完成品を見てちょっと後悔したのは袖ボタン。勢いでいつも通りの水牛ボタンを選んだのですが、本当は黒ベースのものにしてもっと主張しても良かったかなと後悔しています。
生地と同系色になってしまい、完全に埋没しているので、次回からの課題として気を付けようと思いました。


数回着用した印象としては、CANONICOのSuper120'sは思った以上に皺がつきやすく気を遣う生地でした。特に膝裏は注意が必要で、プレスは不要ですが、時々霧吹きで水分補給をしてあげないと皺が残ってしまうので、こまめにケアしています。ガーメントケースに入れたり、新幹線や飛行機で長時間座ることが想定される出張には不向きな生地です。
グレー調なので、当然ブルー系のシャツはマッチしません。シャツは基本は白一択です。


毎回100点満点のビッグヴィジョンさんにしては珍しく縫製が粗い部分があって少し驚きましたが、トータルでは生地も縫製もシルエットも全て満足しています。
コロナも落ち着いて出社する機会も増えていると思います。
新しい季節に新しいスーツを!とお考えの方には、ビッグヴィジョンさんはおすすめのオーダースーツショップです。

2024年3月23日土曜日

サムライジーンズ S5000VX21oz-60TH 21oz超極セルビッチデニム 色落ちレポート

何本目か分からないんですが、価格に惹かれて購入して1年余りが経ちました。

モデルは、サムライジーンズ S5000VX21oz-60TH 21oz超極セルビッチデニム 還暦。 代表の野上さんの還暦をお祝いして、価格もブランド21周年を記念して21,000円とサムライジーンズとしては抑え気味で販売されたモデルで600本限定だそうです。 糊を落とすための初回の洗濯から1回も洗濯せず、ただ履き続けた1年余り(約250回の着用)でどこまで色落ちが進んだかチェックしたいと思います。

こちらは購入時の写真ですが、パリッとしてます。











シルエットは一応「ミドルストレート」とか「細めのストレート」と言われていますが、普通に太めです。サムライジーンズはストレートの定義が若干太めよりなので、注意が必要です。





ポケット布袋には野上代表の直筆サイン入り。

特に嬉しいわけではありませんが、600本サインした努力に敬意を表して一応紹介しておきます。



ここから色落ちの状態を紹介していきます。

全体的にはバランスよくエージングが進んでいると感じます。

洗濯は糊落としの1回のみでそれ以降は1年以上洗濯をしていません。縮みは、まあ一般的な防縮加工なしのデニム同様ですね。レングスで88cmくらいまで縮みましたが、着用に問題あるレベルではありません。

閑話休題ですが、最近のサムライジーンズは比較的レングス短めな設定で、昔は糊落としの後も90cmくらいはあったんですが、今は2cmくらい短くなっている印象です。若干寂しい気がしまね。



腰回りですが、ヒゲが若干ぼんやりした感じになってしまっていて残念です。
おそらく、太めの設定のため腰回りがゴワついていて、その部分にも(線状の)色落ちが多くついてしまい、ヒゲが出ているのに目立たなくなってしまっているのだと思います。
今後色落ちが進んできたら印象がかわることを期待します。



膝周りは好印象です。
ライフスタイル的に膝をつくシチュエーションはあまり無いので、そこまでガッツリ落ちていませんが、放射線状の色落ちも若干出ていますし、これも生活の証なので良しとしようと思います。



裾はそこまで激しく色落ちしていません。
というより、他のモデルに比べると極端に色落ちが少ないです。
理由はいろいろ考えられるのですが、おそらく身長(というより足の長さ)に対して丈が若干短めなので、あまりこすれることが無かったためと思われます。


残念ながら、生地が若干弱いのか後ろ内側にほつれが生じています。
色落ちとは直接関係ありませんが、価格設定的にこうなってしまったのか、個体差なのか、私の履き方なのか分かりませんが、1年程度で裾にほつれが生じるのは寂しい限りです。
他のモデルでは早くても2年以上履かないとほつれが生じることがなく、頑丈さについてはサムライジーンズを信用していたのですが、その信用も若干揺らぎます。









お尻周りについては、最も大人しい仕上がりになっています。
いつも右側のポケットにスマホを入れているので若干アタリが着き始めていますが、それ以外は特筆すべき点は特にありません。革パッチにも特に異常はありませんでした。

最もきれいに色落ちがでているのがハチの巣でした。
椅子に座っているときに足を組むことが多く、膝を曲げる頻度も相当多いと思うのですが、250回程度の着用でかなりきれいに色落ちが進んでいるので、ここだけは大満足です。

結果として後ろ全景が最も美しい仕上がりになっています。
ふくらはぎ周辺も回数相応の平面的な色落ちをしています。
他の部分は立体的な仕上がりを期待したいのですが、ふくらはぎだけは平面的にのぺっとした感じに薄くなっていくのが個人的には好みです。

















最後にまとめ的なことを書きますが、個人的な感想としては不満なアイテムです。個人的な採点では、色落ちは70点で、アイテムとしては50点くらいです。随所に着用による棄損が見られるのは仕方ないのですが、1年程度で生じるレベルではないくらい棄損していたり、全体的なシルエットも曖昧で、「体型的に似合う人いるのかな?」と疑問符がついてしまいます。

色落ちは完成しない芸術品のようなもので正解がありません。ただ、ジーンズとしての完成度が低すぎて、価格に惹かれて購入し育成に時間をかけたことを若干後悔しています。「とにかくサムライジーンズを一度履いてみたい」という殊勝なかたにはおすすめですが、私にとっては「細めに偏ったワードローブに疲れて、たまにはワイドなデニムを履きたい」と思ったときに避難先くらいの位置づけになってしまうアイテムです。




















2024年3月20日水曜日

NewBalanceのスニーカーはどのモデルも好きだけどレザーの996はやはり最高の仕上がり

 タイトルの通り、New Balanceのスニーカーは一部の特殊なモデルを除いて、どれも甲乙つけがたいです。

当然私も何足か保有して日常使いしていますが、そんな中でもM996MUA(996誕生30周年記念限定モデル)は欠点が見つけにくい逸品です。

ご覧の通り、フロントからのフォルムはスタイリッシュながらも無骨さを感じるもので、1000番以降の型番に比べるとややぼてっとしてはいるものの、全体的にデザイナーさんの力量を感じさせる仕上がりになっています。全長と幅のバランスが非常に秀逸。

また、革質はキメが細かく柔らかい上質なもので、安価なレザースニーカーとは一線を画していると感じます。あえてメーカーやブランド名を出さないですが、よくある硬いだけのレザーではなく革質にまでこだわるNewBalanceの老舗としての矜持を見せてくれています。


アウトソールは当然一般的な996と同じものが使われていますが、定番なので履き心地に関する詳しい感想は書きませんが、1300ほどフワフワせず500番代ほど固くないというものです。「996に慣れると他の型番履けなくなる」というフリークほど強くおススメする気はありませんが、誰もが履きやすさを感じる柔らかさとグリップを感じられると思います。


「甲高な日本人の足型には窮屈」と評価する人もいなくなないですが、シューレースの締め方次第で調整可能な範囲だと思います。私も甲高なタイプですが、まったく苦になりません。

ちょっと気になったのが、ヒール周りを中心に接着剤の漏れが散見される点です。

どうしてもある程度は発生してしまう問題ですが、他のモデルに比べると若干多い気がします。個体差があるでしょうし、剝がれているわけではないので、履いているうちに気にならなくなってくるのですが、新品の状態でチェックしていくと、どうしても気になってしまいます。


全体的に非常にバランスの良い優等生スニーカーを探しているならおススメです。おそらく新品では見つからないですが、中古でも程度が良ければ即買いの逸品です。