2018年12月25日火曜日

独自のスタイルを確立したNike Air Jordan 11は永遠に不滅です


正式名称は、NIKE AIR JORDAN 11 RETRO LOW(infrared 23)です。

昔見ていた池袋ウエストゲートパークという宮藤官九郎脚本のドラマの中で見て、「欲しい!」となってから、20年近くにわたってチョコチョコ買い続けているAir Jordan 11。 95年にマイケル・ジョーダンがシカゴ・ブルズでNBA優勝した際に履いていたデザインがこのAir Jordan 11で、Air Jordanシリーズでも最も人気のあるラインナップです。 カラーリングも様々発売されていますが、こちらはブラックにまとめた本体に対して、ホワイトのソールを敷いてモノトーンのおとなし目にまとめていますが、差し色的な感じでレッドを混ぜており、カラーネームとしては「infrared 23」となっています。
おそらく最も人気があるカラーは、ブラック×ホワイトの通称:Concord(コンコード:調和)です。 やはり、ハイカットの方が人気がありますが、AJ11のlowはあまりカットの低さが目立ちません。 もちろん比べれば分かるんですが、lowでも十分に高いカットを持っています。
おかげで左右外側のカバー部分(トップ部分)にくるぶしが当たってが痛いです(この痛みは10回くらい履かないと治りません)。 AJ11の人気の秘密は、とにかくデザイン性の高さです。
シルエットはそれほどスリムではないですし、極端な先細でもありません。
※但し、生地が厚いので内部はそこそこ狭いです(よく「NIKEは狭いので1サイズ上のサイズを!」と言いますが、1.5サイズくらい上の方が良いかもしれません)。
国産スニーカーやイタリア製のスニーカーに見かける、スリムに仕上げて購入前の物欲をそそるという手法をNIKEは採用していません。 あくまでも「履いた時」「履いて動いている時」に如何にスタイリッシュに魅せるか、を追求しています。 特にサイドビューの土踏まずのえぐり方はエゲツないくらいの色気を感じます。
もちろん、外側にも一切隙がありません。
デザイン的な特徴の一つが、ソール近くを通って全周しているパテントレザー(人工皮革)です。
黒光りするパテントレザーが全体的に精悍なイメージを形成している要因の一つであることは間違いないですね。

バックにはJordanの背番号23とJumpmanが刺繍されており、ヒール周辺のセメントパターンに上手く溶け込んでいます。

アウトソールは半透明の樹脂製で、ここにもレッドが見えています。このレッドを見る限り、「infrared」を意訳すると「燃え盛る隠れた熱い血潮」みたいな感じなのかもしれません。
個人的には誰にも見えないのに、Jumpmanがあしらわれているこのソールが大好きです。
全体的にブラックが面積を占めているので、コーディネートの手法としては濃色系のパンツや色落ち前のデニムに合わせると間違いないと思います。
AJ11はそこそこ幅があるスニーカーですが、下半身全体的に濃いめの色調で統一すると、幅広な足元はそれほど悪目立ちすることなく整ってくると思います。

肝心の履き心地は、New Balanceなんかに比べるとそれほど良くありません。
通常歩行時に歩きやすさを感じることは皆無ですし、ソールの柔らかさを感じることもありません。
ただ、バスケットシューズなので、快適性を求める方が間違っています。
立ち上がった時や急な方向転換の際に感じる動きやすさに魅力を感じてあげましょう。

様々なカラーリングを増やしながら、大きなモデルチェンジを行わずに市場で生き残り続けているAir Jordan 11ですが、個人的には基本カラーバリエーションを維持したまま、永遠に生産し続けて欲しいアイテムです。



2018年12月20日木曜日

MoorerのMorrisは気品溢れる存在

イタリアのVeronaで生まれたMoorerは、ダウンアウター業界に旋風を巻き起こし、欧米や日本で瞬く間にプレゼンスを向上させました。
個人的には、10年くらい前からイタリアを初めヨーロッパを旅行した際には必ず現物をチェックしてチョコチョコ集めていましたが、今年になって銀座に直営店がオープンしたり急に日本でも注目され始めました。 Moorerの中でも、なぜか日本ではあまり注目されないMorrisをご紹介します。



Moorerの商品名には、モデル名の後に外側の素材を表した文字が入ります。 KM:ポリエステル LL:ウール&カシミア みたいな感じです。 こちらのMorrisは、「L」と一文字ですが、ウール&カシミアです。 ご存知の方も多いと思いますが、このウール%カシミアは、かのLoro Piana社謹製の生地で風雨に強い高密度なものに仕上がっています(いわゆるStorm Systemですね)。
色はBlu(ダークネイビー)で、Nero(ブラック)とどちらにするか相当迷ったのですが、結局Bluにして良かったと感じています。 日本ではSIROが人気のようですが、SIROの丈を長くしたのがこちらのMorrisです。 前述の通りSIROに比べれば注目度が低いMorrisですが、ヨーロッパ(特にイタリアとロシア)では断然Morrisの方が人気が高いそうです。 価格差は(若干Morrisの方が高いですが)それほどありません。 Webに掲載されていたMoorerのexecutiveの話では、気温差と気品に対する考え方の違いの2点を日本とヨーロッパの売れ筋の違いの理由と分析していました。 つまり、(北海道を除く)日本より気温が低いヨーロッパでは丈が長い方が好まれ、丈が短いSIROはコートというよりジャケットなので、防寒用として着用するにはフォーマル意識の高い欧州人にはフィットしない、という話でした。 一理ある気もしますが、私はもっと簡単に、Morrisの存在があまり知られていない、ということでは?と考えています。 デザインや機能的には完成された感のあるアイテムですが、いくつか特徴をあげてみたいと思います。
■縦長のキルティングで細身アレンジ シルエットは全体的に細身に仕上がっています。他にもいくつかMoorer製品を持っていますが、どれも基本的に細身です。 ただ、ダウンの移動を防ぐためのキルティングが縦長に施されているため、余計にスリムな出来映えになっています。


■首回りのラビットファーは貴族の出で立ちを演出 首回りのファーはスナップベルトを締めると防寒性を著しく高めてくれます。

ラビットなので、そこまで高級感がある訳ではなありませんが、色が濃いめなので、そこはかとない気品を感じます(欧州人にはきっと受けるポイントだと思います)。 前立ての胸位置には折り返す見えるようにMoorerのロゴが配置れており、ブランドの主張も忘れてはいません。
■収納力には隙が全くありません 私がMoorerのアウターを好きな理由の一つがどのアイテムにも共有して言える収納力の高さです。 Morrisに限って言えば、前面にジッパー付きハンドウォーマーとフラップ付きポケットが合計4つ。内ポケットは向きを変える形で両サイドに1つづつと右裾にはボタン付きポケットの計3室。また左腕にもジッパー付きポケット(実用性は乏しいですが)があり、収納について困ることはありません。
裏地の素材はナイロンとポリアミドですが、ゴールドの色合いが非常に綺麗です。

胸のハンドウォーマーにジッパーがついているのですが、これが個人的にはお気に入りです。

前立てのジッパーとボタンを締めると内ポケットから物は出せないので、ここに財布とかを入れておくと誤落もないですし、非常に便利です。
インナーにジャケットを着るとそこにも収納が生まれますので、全て使用する訳ではないのですが、これだけ豊富に収納スペースがあると利便性は格段に上がります。
■防寒性能は日本では十分な高さ 左裾内側にMoorerお約束のダウンの品質保証表示と気温対応表が配されています。

いつもこれを見て思うのですが、数多くあるアウターブランドの中で、防寒性能に関するMoorerのポジションはそこまで高くありません。
これは、防寒性能を上げるためにダウンの量を増やしてスタイルを崩すことを嫌った結果だと思いますが、少なくとも日本国内(特に東京)では何の問題もありません。
北海道の極寒エリアではさすがに辛いかもしれませんが、国内在住の多くのMoorerファンは防寒性能について特に不満を持ってはいないでしょう。

対応している気温は、対応表を信じるのであればおそらく−20℃ですが、さすがにその気温であればこの量のダウンでは心もとない感じだと思います。
ちなみに中綿は、ギリギリまでダウンを増やしたダウン95%+フェザー5%という構成ですので、総量に対する保温性は相当に高いです。


付属品として、説明小冊子とスペアボタンが付いています。


この小冊子は英語やイタリア語以外に日本語での記載もあります。
Moorerとして、日本のマーケットを重視してくれているのはちょっと嬉しいですね(直営店があるくらいなので、当たり前と言えば当たり前ですが)。

東京でも最低気温が氷点下に落ちることがありますので、12月から2月まで大活躍してくれるアウターの4番打者間違いなしのアイテムです。

2018年12月7日金曜日

Y-3のジャケットはハッカーファッションの基本中の基本

『MR.ROBOT』というハッカーを主人公に据えた海外ドラマにはまっています。神経衰弱ハッカーが周囲を巻き込みながら、自分も大事件に巻き込まれていくという話です。 はまっている理由は至って簡単で、技術的な考証がかなりハイレベルだからです。ちらっと映るGUIやコマンドラインとかも全て実際のものを忠実に再現している点に感動しているためです。主人公が使っているOSがLinuxというのも、芸が細かいところですね。
シーズン4で終了してしまうようで非常に残念ですが、長々意味もなく続いてしまうよりもスパッとシーズン4くらいで終了してくれる方が気持ちいですね。 ハッカーのファッションというとモード系のものが多く、手持ちのワードローブの中にはあまり無いのですが、唯一「ハッカーっぽいかな」と感じるのは、Y-3です。
アディダスと山本耀司のコラボレーションによって生まれたブランドであるY-3(ワイスリー)。2018年で15周年を迎えるんですが、そんな長期間やっている感じは全くしなくて、常に最先端を走り続けているところが、スゴイです。 余談ですが、DCブランドが流行った頃に、Y's for Menの服だけは高校生の私には高価すぎて手が出ませんでした。大人になって少し経済的な余裕ができたことをきっかけに、Y’s(通称:ワイズ)とCOMME des GARCONS(通称:ギャルソン)の服を大人買いした経験があります。 言わば、山本耀司さんや川久保玲さんは憧れの人だったんですが、その山本さんがスポーツブランドとの異色コラボしているY-3が、ここまで長続きするとは思ってもいませんでした。 しかも、変にコラボ先であるアディダスに媚を売るようなことはしていません。Y-3はY's for Menをスポーティーにデフォルメしているだけで、あくまでも山本ワールドを保持しています。 Y-3については特別肩入れして購入している訳では無いので、それほど持っていませんが、衝動買いしたジャケットがこちらです。



このジャケットのお気に入りの点は、身幅が狭く腕丈が長い、そしてストレッチの効いた素材感です。 体にジャストフィットしていて動きやすく、淡色のボトムス&濃色(黒とか)のインナーと合わせると、相当にスタイリッシュな出で立ちが完成します。 勿論スリムなデニムと合わせても全然OKで、意外に幅広なコーディネートが可能です。

また、トップ以外の前立てボタンが比翼仕立てになっているのも芸が細かいですね。









































内ポケットが無いのと、腕の微妙な位置にY-3ロゴが入っているのが気になりますが、内ポケットが無いのはシルエットを崩さないためでしょうし、腕のこの位置だからジャケットにこのサイズでロゴが入っていてもそれほど気にならないのかなと考えると、まあ許容範囲かなと思います。
胸ポケットや右側のチェンジポケットはジッパー仕様になっていますが、あまりスペースが無いので装飾的な意味が強いと思います。




若干着丈が長いのもY-3の特徴で、シルエットを綺麗にまとめるためのデザインですね。
ジッパー仕様の袖も、ジャケットとしては他ではあまり見かけないデザインです。
ややedgeが効きすぎている感はありますが、レザージャケットっぽく仕上がっています。













































商品としてはスニーカーやバックパックが人気なようで、街でY-3のジャケットを着ている人に出会ったことは今のところありません。 他人との被りを気にする方には、うってつけのアイテムだと思います。

2018年12月2日日曜日

Dirk Bikkembergsのコートは超絶スタイリッシュな逸品

長年にわたってファッション業界を見ていると栄枯盛衰が激しいなぁと感じます。 昔好きだったブランドが好きではなくなって、いつの間にか無くなっていたりすると寂しい気分になります。 逆に昔好きだったブランドが未だに第一線で頑張っていると、頼もしくなります。 Dirk Bikkembergsもそんなブランドの1つです。 1989年のパリコレから表舞台でのキャリアを開始しているので来年で30周年です。 元々はメンズブランドだったんですが、後からレディースも展開し、現在では押しも押されぬ大ベテランになりつつあります。 傾向としては、ソリッドなデザインが中心(着る人を選びます)ですが、ミリタリーな要素やカラフルな展開を加えたりして、デザインの幅は底知れないものがあります。 Dirk Bikkembergsのアイテムは、それほど所有していないんですが、一番のお気に入りはスタンドカラーの中綿入りコートです。




■デザインとシルエットで勝負する Bikkembergsのアイテムは着る人を選びます。太っている人は基本的に着られません(勿論程度によります)。細身でモデル体型かそれに近い人しか着られません(違う人が着ても似合わない)。 自ずとマーケットは狭まるのですが、逆な言い方をすると、体型に気を遣った自制心のある人しか着てくれなくて結構と考えているのかも知れません。 このコートも「モデル向け」的な位置付けで、絞られた身幅と平均よりも長い腕丈にスタンドカラーが相まって相当エッジが効いています。 また、肩上部から袖先まで素材違いの切替しラインが入っていて、目を惹きます。


































ただ、それなりに幅があるラインなので悪目立ちすることはなく、肩章的なデザインでミリタリーっぽさを醸し出しつつ、長めに取られた腕全体的に細く見せる効果を発揮しています。 この辺りはBikkembergsの底力を感じる部分です。

おそらくデザインとしてのアクセントなのでしょうが、切り替えしの繋ぎ目にはスティッチが施されています。

































非常に美しいスティッチで手抜き感は全く感じません。
芸が細かいの一言では済まされないモノづくりに対するこだわりが響きます。

■スタンドカラーとロゴプレートでさり気なく主張
前立てのホックボタンを全て留めることは考えづらいですが、Bikkembergsとしてのセンスを強調するポイントになっています。

若干右側に被り気味のレイアウトがシンメトリー効果を出していて素晴らしいです。

二流のブランドだと、どこかに大きくブランドロゴを入れたりするところですが、Bikkembergsのやり方は以下の通りオシャレです。



判別できるかどうかくらいのサイズでシルバープレート(しかも頭文字だけのテキストのみ)を左ハンドウォーマー近くに配置しています。
更に感心させられるのは、Dの縦棒に極小で「Bikkembergs」と彫られている点です。
最早写真では全くわからないレベルですが、このシルバープレートを凝視されたことが何度もあるので、逆に注目されやすくなっていると言うわけです。
デカデカとブランドの宣伝をするものより、奥ゆかしく、主張をキッチリしている点は、神業レベルです。

ちなみに人から見られない裏地部分は、逆に死ぬほどブランドを押し出しています。



































着ている人に「お前はBikkembergsのコートを着ているんだぞ、間違っても太ったりするなよ!」と叱咤されてる気分にさせます。

■最低限の機能の中にもこだわりポイント満載 デザインを重視するあまり、コートとしての機能を過剰に省略しているケースをよく見ます(特にハイブランドに多い)。 勿論、海外セレブであれば0度近い寒さの中を歩くことは無いでしょうし、財布やら携帯やらを収納する必要も無いので、防寒具に機能を求めることは無いかも知れません。 ただ、私は一般人なので、そこそこ機能も求めています。 その点Bikkembergsは、一応機能にも配慮があります。 防寒性能は生地自体の防寒性が低いため、薄っすらと中綿を仕込んであります。厳冬期には厳しいかも知れませんが、東京の感覚で言うと、年間で最も寒い1ヶ月以外であれば十分な防寒性です。

また、随所に機能的なこだわりが詰まっており、前立てはジッパーとホックボタンの二重構造。


































そして、ハンドウォーマーには貴重品の誤落防止のため、ホックボタン付き。




































勿論、片側だけですが内ポケットも備えています。














々と書いて来ましたが、スタンドカラーでスタイリッシュ、しかも機能性も高いとなるとなかなかお目にかかりません。 長期間に渡って業界のトップランナーとして活躍し、サバイブしているデザイナーの鬼気迫る渾身の一作と言えるでしょう。
定価10万以上するコートですが、デザインや機能を考えるとその価値は十分あります。
個人的な趣味の世界ですが、ハンドウォーマーに手を突っ込むのではなく、意図的に黒のレザーグローブか何かとコーディネートして、一層エッジを効かせた雰囲気を醸し出したいアイテムです。