2018年10月30日火曜日

サムライジーンズ S003JP(倭(YAMATO))はサムジー史上最も細いモデル

大戦モデルと呼ばれる極太ジーンズが中心になったアメカジブームの後にやってきた細身ジーンズブームが長く続いており、ジーンズ業界で各ブランドがこぞってスリムやスキニーといった細身のモデルを出し続けています。 サムライジーンズ もご多聞にもれず、細いモデルをいくつか出していますが、その中でも最も細いのがS003JPです。
最近はブーツカットなども出したりしていますが、大戦モデルをベースにしたシルエットが多いサムライジーンズの中では、比較的珍しい位置付け。
昔からサムライジーンズを追いかけて、ネットで他のユーザーの色落ち具合をチェックしているファンとしては、
■随所に見られるサムライの心意気 革パッチはヌメ革で、富士山(?)を背景に旅人が描かれています。
サムライジーンズの場合、革パッチに月が入っていて、その満ち欠け具合によってシルエットを表しているケースが多いんですが、S003JPのパッチには月が入っていません。おそらく、従来のモデルで最も細い新月を使ってしまい、S003JPの極細を表せなくなってしまったからではないかと思われます。
コインポケットのトップラインを耳のように藍色で縁取っています。
目立つ場所ではありませんが、サムライジーンズのこだわりを感じます。

同様に、ポケット布袋やブランドネームタグは他人から見られる場所ではありませんが、しっかりとブランドネームが入り、手抜きは微塵も感じません。

「MADE IN OSAKA,JAPAN」という表記に、矜持を感じます。

ボタンやリベットには桜があしらわれており、ブランドネーム(SAMURAI JEANS)と共にしっかり主張しています。
当然セルビッジなんですが、いわゆる「青耳!」と思ったら、メーカー公称では藍色ということなので「藍耳」ですね。
■温故知新の細さを追求 細身と言ってもメーカー毎にいろいろ特徴があります。S003JPの場合は、裾を絞ったりはせず股上をギリギリまで浅くして、上から下まで均等に細く仕上げています。実際に計測してみると、裾幅は19cmもありますので、テーパード感はほぼありません。 他社がテーパードスリムを乱発する中で、なかなかアグレッシブな解釈です。
いわゆる「足長効果」はほとんどありませんが、荒削り感があってこれはこれで有りかなと思います。 デニムは作業着なので、股上が浅くて動きづらいというパターンはあまり好きではありません。ただ、このモデルに関して言えば、股上を浅くすることでここまで細く見えるんだと感心させられます。 昔(それこそビンテージ期)のデニムにはスリムモデルはありませんでしたが、もしあったらこんな感じだったんだろうなと考えてしまいます。
■相変わらずの肉厚だが 15OZとなかなかの肉厚ですが、17OZとか19OZのモデルが普通にラインナップされているサムライジーンズの中では、比較的薄めです。 洗濯頻度を少し上げて気づいたんですが、15OZくらいだとやはり10回くらいの洗濯でいわゆる「ヘタリ」(購入当初と比較して生地が薄くなってくる状態)が出てきます。 この「ヘタリ」と色落ちをバランス良く実現するのが、なかなか難しいんですが、現在は10回着用で1回洗濯くらいの頻度なので、少し頻度を下げて色落ちを進めたいと考えています。
また、生地の厚みがどう関係しているか分かりませんが、右足だけ相当に捻れが発生しています。
防縮加工していないデニムでは日常茶飯事ですが、サムライジーンズの中でもS003JPはダントツに捻れています。
■色落ちを意識した構造 洗濯頻度を上げていた影響で、ご覧の通りあまり色落ちが進んでいません。
※右の尻ポケットの縁だけ色落ちしているのは、左足を右足に載せる形で足を組むことが多いから??
※「ハチノス」もまだ出てきていません。おそらくあと半年〜1年くらいはかかるでしょう。

いわゆる「特濃色」に仕上げており、更に生地の芯白を残した打ち込みをしているので、半年〜1年(約50回着用)に1回くらいのペースまで洗濯頻度を下げれば、相当に色落ちが進むと思われます。 様々なレプリカビンテージのジーンズを穿いてきましたが、サムライジーンズが最も色落ちしやすいと感じるのは、オーソドックスながら「ベースのインディゴを濃くして、生地の芯を残す」という手法で生地を製造しているからですね。

スタイルや構造など、あいかわらず一切手が抜かれていません。
3万円前後するのでジーンズとして良いお値段なんですが、新作が発売されるたびに試着→購入となってしまう、物欲をそそるデニムブランドです。

2018年10月20日土曜日

日本ではあまり知られていないMoose Knucklesのダウンコート

7月にネット検索していて発見したんですが、私にとって驚きのニュースがありました。「伊藤忠商事がMoose Knuckles(ムースナックルズ)の国内独占販売権を取得」というものです。 自分の好きなブランドが大手商社の手を経て国内に展開されるのって、好きなインディーズバンドがメジャーデビューするようで、複雑な気分です。
Moose Knucklesはカナダのブランドなんですが、2007年創業なので非常に若いブランドです。少し前に北米を訪れた際にふらりと立ち寄ったBrooks Brothersで店員さんに勧められたのが元々の出会いです。 その際には、「3Qジャケットがオススメだ」と力説されて、意味が分からなかったんですが、後から「『3 Quater(3/4)』= 腰よりも少し長めの丈のジャケット」と理解しました。確かに、それくらいの丈のダウンジャケットがやたらとたくさん並んでいたのを覚えています。 今回ご紹介するのは、ダウンジャケットです。モデル名はSTIRLING PARKAというものですが、並行輸入で購入したので正確なところは分かりません。

■カラー選択を失敗したかも ダークネイビーやブラックのアウターがどんどん増えているので、少し変わった色にしようと考えて、モスグリーンにしてみたんですが、これが結構使い勝手が悪いです。 デニムと合わせると、安っぽいミリタリーっぽくなるので、なるべくドレッシーなチノパンとかウールパンツと合わせるようにしています。 ただ、真冬って意外にデニムを穿くことが多いので、自然と登板機会が減ってしまいます。
もしデニムとコーディネートしようと思ったら、迷わず細身のブラックデニムにVANのオールレザーブラックスリッポンとかですかね。もしくはホワイツブーツのドレスブラックか。
ただ、左腕にメタル製ロゴがあしらわれており、これが差し色っぽくなっているので、完全なミリタリーっぽさは回避しています。
※ロゴの意味は、ヘラジカ(moose)の足跡と、カナダの国技であるホッケーの荒っぽさを表現した拳(knuckles)を表しています(ちなみにラクロスもカナダの国技です)。
■防寒性/保温性は最高レベル 着用した感想としては、ハッキリ言って相当に暖かいです。さすが極寒の地カナダのブランドだなぁと感心させられました。 真冬の早朝に氷点下レベルの中で着ても、体のカバーされている部分は相当に暖かいです。そのまま電車に乗ったりすると、逆に暑くなってしまうという問題はあるのですが、機能的には100点です。 以前、nano universeが西川ふとんとコラボして「羽毛ぶとんをそのまま着たくらい暖かいジャケット」と訴求していたダウンジャケットを着ていて、「これかモンクレールが最強かな」と思っていたんですが、実はMoose Knucklesの方がレベルが上でした。 なので、温度調節のために真冬でも前立てのジッパーを下げて開けている時があるくらいです。ジッパーの性能も高いので、閉めると密封性が上がってしまい暑く感じる時があるからです。
ダウンのフィルパワーも高いんでしょうが、生地も分厚い感じがしますので、中綿以外に覆っている生地も関係することに改めて気づかされました。
ちなみにフードのファー部分はラビット。結構よく抜けますので要注意です。
いつも思うんですが、この毛って本当にウサギから採取しているんでしょうか。
あのカワイイ姿をイメージすると些か可哀想な気もします。

袖口もジッパー仕様なので、防寒性は抜群です。

■スタイルとしては一般的なダウンジャケット 着用したイメージとしては、一般的なダウンジャケットと同様で、身幅にやや余裕がある状態で、上から下までほぼ同じ幅をキープしています。 海外ブランドのご多聞にもれず、腕丈が若干長めなので、サイズが上手く合えば少し小さめのジャストサイズのものを選んで、スリムに着用することも可能かと思います。
もちろんフード部分は着脱可能です。ただ、取ってしまうとカッコ悪いので要注意。
そして収納も一般的なレベルで備えています。内ポケットのスペースも普通レベル以上にあります。


アイスホッケーとヘラジカをブランドモチーフに設定して、カナダの魂を表現したMoose Knuckles。


防寒性が凄まじいアウターは使い勝手が良いので貴重です。
ただ、次回は定番のネイビーを購入して、もう少し楽にコーディネートを楽しみたいです。

2018年10月18日木曜日

AldenのIndy Bootsは特徴があまり無いが存在感はバッチリ

その名の通り映画のインディ・ジョーンズに登場することから名付けられたAlden Indy Boots(インディ・ブーツ)。スタイリストの持ってきたブーツが気に入らなかった主演のハリソン・フォードが、自前のAldenを履いたという逸話は有名です。

見た目は一般的なUTipですが、様々な洋服に合わせやすいという意味では、意外に重宝します。
特にV-Tipやノルウェイジャンフロントをイマイチ好きになれなくて、Indy Bootsを選んだ人からは「ヘビロテ化している」という声をよく聞きます。

シルエットの変化を楽しめる逸品
Aldenの革靴(特にコードヴァン)について全般的に言えることですが、新品未使用状態と数年後(100回以上履いた後)の状態を比較するとシルエットの印象が相当変わります。
シルエット的に経年で変化が楽しめるということは、かなり柔らかい革を利用しているということですね。
変化が特に顕著なのがchukka Boots(チャッカ・ブーツ)ですが、他のモデルも負けてはいません。
まだ新品未使用状態なので、どのように変化していくのかご覧いただくことはできませんが、このブーツも今後どのように育っていくのか楽しみです。



※凛とした雰囲気を感じます。こう言っては失礼ですが、アメリカっぽさは感じられません。

Indy Bootsには基本的にTruebalance(トゥルーバランス)というラスト(木型)が使われています。
Aldenの中では最も幅広で最も丸く最もボリューミーなラストで、もともとは矯正靴をベースにしていたこともあって非常に履きやすいです。そしてサイズ以上の存在感もあります。

■トゥにスチールを入れてみた
せっかくなので、爪先にスチールを入れてみました。
縁取りも含めて丁寧に仕上がっていて歓喜!
これでしばらくの間は何かにつまづいても焦ることはありません。
入れなくても大問題には発展しませんが、オールソールまでの時間を延ばしてくれる効果はあると感じています。

■各パーツを細かく見ていくと
まずはアッパー。
相変わらずHorween社のShell Cordovanは滑らかに輝いています。
特別な加工がされたガラスレザーとは全く異質な輝きです。
よく「コードヴァンは水に弱い」と言われますが、ここまで滑らかだと「多少の雨なら弾くのでは」と考えてしまいます。勿論、試すつもりはありませんが、Horween社のホームページでも「防水性」を訴求しているので、もしかしたら霧雨レベルであれば耐えるかもしれません。
ただ、経年による退色は結構発生激しいので、どうしてもある程度の補色は必要です。
私の場合は、Saphir Noirのコードヴァンクリームを利用しています。

このIndy Bootsは色が#8なので、サフィールの型番でいうとNo.71(色の名称は「コードヴァン」って、そのままやん!)になるんですが、ほぼ同色なので補色にはぴったりです。
ちなみに、ブラシは使用するクリームによって変えるようにしています。同系色ならまだ良いんですが、違う色だと毛先に付着した他の色の残りが移ってしまうためです。
そして、もちろんブラシは馬毛です(柔らかいので銀面を傷つけません)。

バックビューで最初に目が行ったのはストラップが無い点です。

もちろんワークブーツではないですし、無いと履けないということはありません。
ストラップが無いとこんなにスッキリした佇まいになるんだなと、感心してしまいました。
ちなみにストラップが付いているIndy Bootsも世の中には存在します。

ソールについては、前出の通りレザー仕立てです。
履いていくうちにいずれはオールソールが必要になりますが、丁寧にケアしてあげると非常に長持ちしてくれます。

そしてインナー。
いつもの通りのオールレザーです。
Aldenのインナー内貼りレザーって、不思議とソックスで滑らないです。
引っ掛かりが良いので、歩きにくいという感じは全くしません。

世の中的には、コードヴァンの価格が高騰していてAlden商品の価格が上がらないかとヒヤヒヤしていますが、そのうち商品自体の生産が厳しくなっていくのでは無いか、そっちの方が心配です。

2018年10月17日水曜日

Berlutiのパティーヌには気品があって良し(Espace yenの紹介)

私は、割と定期的に財布を変えるタイプの人間です。 「定期的」と言っても、4−5年に一度なのでそこまで頻繁ではありませんが、それまで使っていた財布が使えなくなるまで使うと言うレベルでもありません(まだ使えるのに使っていない財布が増えてしまうのですが)。 ずっとGUCCIの二つ折り財布を使っていたのですが、少し飽きてきたのと、札入れ型の長財布をしばらく使っていなかったので、新しい長財布を購入しようとネットや雑誌で物色を開始しました。 自分なりの条件としては、 ・長財布 ・そこまで大きくないもの ・小銭入れ無し ・外周ファスナー無し
・カード入れ8枚以上 ・お札スペース2室 と言ったところです。
ブランドにこだわっているわけでは無いのですが、これから5年くらいは使うものなので、一応長持ちしそうなものを探しました。 Louis Vuitton、GUCCI、Ferragamoと有名どころを探していき、ちょっと目を引いたのがLouis VuittonとBerlutiでした(何れにしてもLVMHグループの呪縛からは解放されない)。 Vuittonの財布は以前にも2−3個使ったことがあったので、品質は保証済み。ただ、人気ブランドですし店舗も多いので周囲との被り率も気になります。余り人が使っていない(被り率が低い)と言う意味では、Berlutiは最有力候補です。そもそも、日本人は「周囲と被るのはイヤだ、でも周囲にはいい物を使っていると気づいて欲しい」と言うワガママな気質なので、比較的知名度が低いBerlutiのアイテムは使っている人が余りいません。

■Berlutiの紹介
ちょっと意外だったのは、Berlutiがフレンチブランドだったことです(名前的にイタリアンブランドかなと思いました)。19世紀にフランスで起業されたブランドで、ベネツィアンレザーという柔軟性が高いことが特徴の革を用いて商品を展開しています。 特に有名なのはパティーヌと言う技法で、革の上から何度も重ね塗りして独特なグラデーションとコントラストを生み出すことにより、他には無い鮮やかな色調を生み出します。当然製品の個体差は激しく、同じ製品でも全く見た目が違うものに仕上がります。 また、カリグラフィ(エッジング)と言われる革の上からデザインを彫り込む方式での装飾(文字や『スタンプ』と呼ばれる線画が描かれます)も、個体差が生まれる要因になっています。描かれる文字や線画の種類は決まっているので、比べて見ないと分からないレベルですが、それでも一つ一つ違いがあると言う意味では私にとって大きなポイントでした。
もしかしたら靴のほうが有名かもしれませんが、皮革小物も靴同様に高品質です。

■検討から購入まで Berlutiの財布は比較的豊富なラインナップを揃えているんですが、それでも前述の条件をクリアするものは多くはありません。適合していたものはEspace Yenくらいです。EBENEもSANTALも小銭入れがついており、その分カード入れの数が少なかったり厚みが増していて、どうもしっくり来ない感じがしました。 ちょっと話がそれますが、財布を買う際にいつも困るのは、実際に自分が使用するカードやお札を入れてみないと本当の財布容姿が分からない点です。店頭で入れてみるわけにもいかず、偶然ショップスタッフの方がその財布を使っていれば見せて貰うこともできるんですが、そんなレアケースに遭遇しなければあとは想像するしか無いです。 今回の購入に際しても、店頭で在庫していた別の財布を一応見せてもらったんですが、あくまでも使っていない状態での比較しかできないので、余り検討せずに事前に調べて有力候補に挙がっていたEspace Yenにすぐに決定しました。 スタッフさんに詳しく話を聞いていると、どうやらキャンペーン中でゴールドかシルバーのパティーヌを無料で施してくれると言うことです。但し、所要期間は3−4週間くらい。 「今日から新しい財布!」と考えていたので大分迷ったんですが、1ヶ月待てば更に美しいパティーヌが見られるんであれば、少し我慢しようと考えて、シルバーのパティーヌをお願いしました。 ゴールドも一瞬検討したんですが、スタッフさんから「ネイビーだったらシルバーが鉄板ですよ!」と勧められて結局シルバーにしました。
ただ、同色系のパティーヌではないため、ネイビーとシルバーでパティーヌ独特な「ムラ」が出るわけではなく、カリグラフィの文字やスタンプ部分にシルバーの色が載ってくるだけとのことです。 そもそもベースとなるEspace Yenのネイビー自体が「ムラ」感満載なので、これ以上別の色が入ったら気持ち悪くなります。 依頼してからキッチリ3週間後にお店から完成した旨の電話が入り、会社帰りに寄りました。そのEspace Yenがこちらです。


同色Espace Yenの在庫が無かったので、パティーヌを施していない他の財布をお借りして、店頭で撮影させて貰いました。
パティーヌがはっきり分かる!
シルバーパティーヌは、カリグラフィ部分を際立たせる効果はありますが、ベースとなっているネイビーの色合いを変えることは無いですね。 スッタフさんに聞いたところでは、実際には微妙にシルバーが載っているようなんですが、ネイビーの方がシルバーよりもはるかに濃いので肉眼ではほとんど分からないレベルとのことです。

■Berluti Espace Yen 徹底分析 自宅に持ち帰って細かくチェックして見ました。 こちらが購入時の一式です。


保存袋以外に「こちらもサービスで差し上げてますんで!」と言われた皮革磨き用のシルクっぽい布も貰いました。Beiutiのトレードマークであるスタンプが入っています。


ご覧の通りカード収納は、左右あわせて10枚分あります。
向かって左側はマチ付きの紙幣収納(2室あるので高額と小額の紙幣を分けられます)。右側は領収書とか入れるのにちょうど良い感じです。


購入時には各室に厚紙が入っていて、革同士がこすれて劣化するのを防いでいます。


裏面にはカリグラフィがそれほど及んでいません。


何も入れていない状態だと厚みは10mm程度です。




実際にカードやお札を入れてみると、やはり厚みが出てきます(使っているうちに徐々に潰れてはくると思いますが)。



入れているのは、カード7枚、紙幣は8枚です。



カードは横から見ると構造上斜めに浮き上がる形になるため、カードを複数枚入れると厚みが生まれますね。


少し驚いたのは思った以上に革が柔らかい点です。ベネツィアレザーは、やはり質感が最高です。
別にグニャグニャ曲がるというわけではなく、表面の「ぬめり」が柔らかい。ただ、傷が付きやすい・・・。 何度かカードの出し入れをしてみると、擦過傷が生まれます。浅いものであれば、少し触ってあげると消えるようですが、深めの擦過傷はどうしても残ってしまいます。これはこれで「味」なのかもしれません(勿論、革が柔らかいのは良いことなんですが・・・)。「傷を気にしていると使わずにお蔵入りになる・・・」と意を決して普段使いするつもりです。 予想していたんですが、カード入れに隙間なくカードを入れるのは少しきついです。私はクレジットカードやキャッシュカード等、6-7枚くらいはカードを使うので、1室づつ間隔を空けて使うことにします。そちらの方が圧倒的に使いやすいです。 以前使っていたBOTTEGA BENETAの長財布と比べて見ました。
※比較用にBOTTEGAにも同量のカードや紙幣を入れています。 比べてみると分かるんですが、全体的にBOTTEGAよりも小振りで薄いです。 革をイントレチャートにしている分だけBOTTEGAの方が厚みが出てくるのは当然なんですが、底面積自体もBOTTEGAに比べて小さくまとまっているのは高評価です。 お店のスタッフさんから「パティーヌは徐々に薄れてくるので、1回だけ染め直し修理を無料で承ります。気になるようでしたら、お持ちください」と言われました。 1年くらい使ったら状況をご報告しますが、シルバーパティーヌがどのように変化するのか非常に楽しみな逸品です。

2018年10月12日金曜日

Breguetのトランスアトランティック タイプXXI にはなぜハック機能がないのか

結構な数の機械式時計を所有しています。同じ時計をずっと使っている訳ではなく、週単位で着用する時計を変えるので、しばらく使用していない機械式時計は停止してしまいます。 しばらく使用していなかった機械式時計を久しぶりに着用しようとして、最も面倒なのは時刻合わせです。 ただ所有している時計のほぼ全てに、いわゆる「ハック機能(竜頭を引くと秒針が任意の場所で止められる機能)」が付いているので、正確な時刻に合わせるという行為自体はそれほど難しい作業ではありません。 このハック機能が付いていないと、時刻合わせは一気に難しい作業になります。 Breguet(ブレゲ)トランスアトランティック タイプXXI 3810(Ref.3810ST/92/SZ9 ) は、ハック機能が付いていないそんな時計です。

■ムーブメント
アエロナバルの派生形として誕生したトランスアトランティックですが、文字盤は酷似しています。
大きな違いはアエロナバルには無い日付窓が付いている点くらいです。
ムーブメント型式としては「キャリバー 584Qという自社製ムーブメントを搭載しています。
この機構にハック機能がついていないんですが、ハック機能がついていない時計を他に持っていないので、どうしても時刻合わせの際に違和感を感じます。
単純な機能なんですが、無ければ無いで相当にしんどい。
パワーリザーブは45時間なんですが、日付窓の無い「584Q/2」は48時間。
最近は72時間駆動が当たり前になってきているので、45時間とか48時間とかだと非常に短い印象を受けます。
見た目重視のラグジュアリーブランドですが、「正確な時を刻む」というムーブメントの基本性能に関してはまずまずで、新品購入して数年経ちますが、日差は+3秒程度と十分合格ラインをクリアしています。

■42mmの存在感 ボディの直径について、以前に比べると小径のものが流行の兆しを見せていますが、やはり多少の存在感を出したいという場合、40-42mmくらいは必要になります。 タイプXXIも42mmあるので、きっちり存在感出しています。
ただケースサイズ以上に存在感があるのが、ケースサイド部分の通称:コインエッジです。海外のコインでよく見かけるように(日本で言うとギザ10みたいな感じで)ケースサイドに縦に溝が彫られていて、チラッと見えるだけで存在感はバッチリです。


このコインエッジは、意匠的な美しさもさることながら、時計自体の厚みを強調させるデザインです。
ベゼル周りのの難点が1つだけあります。
ベゼルの天頂部分(12時位置)の逆三角形はちょっと頂けない感じです。

白の塗料のみで表現されていて、何かの弾みで硬いものと接触したら簡単にハゲてしまいそうで怖いです。
なぜ彫らなかったんでしょうか、疑問が残ります。
■最近の流行り?立体的な文字盤 最近よく見かけるんですが、文字盤が二重構造になっていて立体的に見えます。
ストップウォッチ機能の計数盤やGMT針の表示板がなぜか二重構造になっていて、各盤にちゃんと針があるので特に板自体が動くわけではないです。 ムーブメントには何の関係も無いので、装飾の一環としてそういう構造にしてるんでしょうが、芸が細かいところは、さすがブレゲと好印象です。ただ、機能としては特に意味はありません。
■ホールド感はイマイチのシングルバックル ベルトはシングルバックルで、バックル自体のロック機能以外には、ROLEXのダブルロックやOMEGAのPUSHボタンのような補助ロック機構はありません。
また、時計のサイズや重量に対してバックル自体が少し小さめ。その分だけ時計自体のボディの揺れに対して若干心許ない感じです。 もちろん、誤脱という事故につながるほどではありませんが、バックルが小さいことによる本体の揺れには慣れが必要です。
外す際にはボタンとかがあるわけでは無いので、隙間に指を挟んで力で引っ張るだけというシンプルなものです。この辺も見た目には気を使うけど、機能的には未成熟というブレゲらしさが出ています。

※バックルらしいバックルはついていませんが、ブランド名を入れるのは忘れていません。

※この状態にはするには隙間に指を挟んで上に持ち上げるだけ。慣れれば大丈夫ですが、最初は少し怖いです。
■こうなったらお飾りに過ぎないGMT(24時間)針 デザイン面では完成されているので全体的に気に入ってるんですが、そんな中でもちょっと違和感を感じるのは、Breguet(ブレゲ)では「デイアンドナイト・インジケーター」というカッコいい名前で呼ばれているGMT針です。
何に違和感を感じるかと言うと、日付が変わる瞬間(つまり夜中の12時)の針の位置です。 私も世の中全てのGMT機能付きの時計をチェックして分析したわけではありませんが、今まで見た範囲でいうと、ほとんどが天頂部分で日付が変わる運針になっています(つまりお昼には針が真下(6時位置)に来る)。 それがこの時計の場合(と言うかブレゲに関してはほぼ全て)、6時位置(つまり天頂ではなく地面の位置)で日付が変わるように設定されているのです。 それほど頻繁に見るわけでは無いのですが、時刻合わせの際には必ず「?」となってしまいます。 もちろん、そもそもクロノグラフの全ての機能を使い倒している訳ではないので、クロノグラフ自体が「お飾り」の寄せ集めみたいなもんなんですが。

■文字盤のデザインは秀逸すぎて文句がありません

悪口が多くなってしまいましたが、Breguet(ブレゲ)の真骨頂は文字盤の美しさです。



※時針や分針のシルバーの縁取りとか先細りデザインは見るものを魅了します。

芸術性が高くて一見するとダサい感じのアラビア数字も、デザイン全体にうまく溶け込んでいて野暮ったさが無い。スイスのメーカーですが、フランス製品のような洗練された美しさがあります。
最近、バーゼルのたびにどんどん新しいモデルを投入してくれるBreguet(ブレゲ)ですが、次はタイプXXIIとかにチャレンジしたいです。