Just Cavalliは、Robert Cavalliのコンテンポラリーラインとして2000年に創設され、2003年からコレクションを発表しています。
Robert Cavalliは、トスカーナマッキア派の高名な画家ジュゼッペロッシを祖父に持ち、両親とも美術関連の職に就くという芸術一家に生まれ、自身の名を冠したブランドであるRobert Cavalliを斬新なデザイン性により世界的な人気ブランドに押し上げた推しも推されぬ名デザイナー。
「コンテンポラリーライン」というと「母体となるブランドよりは格安で、格としては数段落ちる」と感じる人は少なくないでしょう。私は若干意見が違います。ブランドによっては、チーフデザイナーではない別の社内デザイナーが適当に終わらせているケースもあります。ただ、それもブランドごとに傾向がちがっていて、また母体ブランド自体の格にもよります。
Just Cavalliの場合は、母体同様のレベルで仕上げられており、計算/構築されたデザイン的な特徴はRobert Cavalliファンを納得させる完成度になっています。
そんな優秀なブランドであるJust Cavalliのレザージャケットをご紹介します。
羊革で柔軟性に富んだ仕上がりになっており、イタリアンブランドらしく細身のシルエットかと思いきや・・・身幅は53cmくらいあり、そこまで脇を絞った感はありません。柔軟性の分だけフィット感が増していますので、そこまで寸胴な感じはしませんが、イタリア人の攻めた細さが感じられないのは若干肩透かしです。
首周りは襟なしですが、硬さが全くと言っていいほど無いので「スタンドカラー」とは言えないレベルの立ち上がりです。ストール等をインナーに仕込んで、少し立ち上がるようにしてあげたほうが良いかもしれません。
裾にレザー編み上げの手の込んだ意匠を取り込んでおり、武骨さの中に繊細なデザイン性を混在させて、希少性を高めています。
まあ確かにこれのおかげで他の人とソックリ、みたいなことには絶対ならないでしょうし、「どこのブランドだろう」と一瞬考えさせる効果は期待できます。
ファスナーのフック部分には当然ブランドネームがあしらわれていますが、単純にネームを入れるだけでなく、ロゴにしているあたりは手が込んでいます。ファスナーの滑りは新品時は若干硬めですが、使っていくうちにこなれてきて欲しいです。
袖口は若干フレア気味ですので、窮屈さは全く感じません。このフレア加減が絶妙で、決して広がりすぎずまとまりすぎずの程良いフレア感です。ファスナーを完全に閉じてしまった状態でもフレアは維持されますので、基本は閉じて使うものだと思います。
裾の編み込み部分を背中まで完全に通さなかったのは、デザイナーの力量の現れですね。 これによって、ハードな印象が相当薄らいでいますし、柔軟性も担保されることになっているので、グッドデザインと感じています。
良いことしか書いていませんが、それくらい完成度の高いレザージャケットです。そこまで好きなブランドではなかった Jsut Cavaliですが、今後は他のアイテムにも注目してみていきたいと思います(メンズのラインナップが少なめなのが寂しいところです)。