2019年4月28日日曜日

Big Vision(ビッグヴィジョン)でパターンオーダーしてみた感想(その2)

Big Vision(ビッグヴィジョン)さんでスーツを作って、ハマってしまう人は結構いると考えています。 理由を分析すると、 ①他店に比べて価格が安め。 ②スタイルが豊富。 ③こちらの希望を聞いてくれる。 と言ったところです。 勿論、接客や計測してくれるスタッフさんの技術や対応力にもよりますが、こちらがある程度しっかりした希望や価格イメージを持っていれば、相当に使えるお店です。 以前ご紹介して比較的好評だったので、ビッグヴィジョンさんのパターンオーダーを再びご紹介します。 ちなみに今回採用した生地はErmenegildo ZegnaのTROFEOです。 TROFEOという生地はとにかくバランスに優れた良い生地です。 生地の強さや光沢、柔らかさなどいくつかの指標で生地を評価した場合は、各項目で1位ではなくても、総合力で言ったら間違いなくErmenegildo Zegnaの中でも最高レベルのものです。
TROFEOという名称も、「コンテストでトロフィーを獲得」という意味でTROFEO(トロフィー)と名付けられていますので、高品質もうなづけますね。 通常、パターンオーダーでも15万円くらいする生地ですが、ビッグヴィジョンさんではキャンペーン時には49,800円で販売されますので驚きです。 毎度のことながら、キャンペーン時には何回に分けて抽選で販売されるのですが、毎回応募すれば大体希望の色柄のものが入手可能です。 ただ、一番人気の濃紺(単色)は毎回そこそこの倍率なので、どうしてもTROFEOで作りたい人は別の色柄にした方が良いかもしれません。 私の場合は、既に濃紺のスーツを数着持っているため、今回は紺ベースのストライプにしました。
ストライプの間隔は若干広めですが、ストライプの間にシャドーストライプが入っているのでアクセントになっていて、ノーマルなものよりも個性が際立って良いかなと考えました。 ストライプのスーツには、ストライプのシャツが使いづらい分だけコーディネートの幅が狭まりますが、スーツとしての主張が高まるので存在感は増します。 加えて、ストライプの幅にもよりますが、全体的にシャープに見せる視覚効果もあります。 上手くローテーションしてあげるとワードローブの主役クラスにもなり得るツールです。 今回の仕上がりにも特に問題箇所はありませんでした。 いつも通りに襟付きのベストとオプションAセット(台場/フルスティッチ/水牛ボタン/など)に切羽等を追加して合計7万円台半ばです。
ベストに襟を付けると首回りにボリュームが出て重心が上の方に来るので、全体的な見た目がスタイリッシュな仕上がりになりますね。

ベストの第一ボタン位置を若干高めにする好みのカスタマイズも忘れずにお願いしました(ボタンの間隔が少し空きますが、無料です)。

左サイドには「これでもか」というくらいポケットが付きます。


パンツの裾の仕上がりも特に問題有りませんでした。


襟まわりも雑な印象は受けません。


今回ちょっと気になったのが、袖口の本切羽です。


雑というほどでは有りませんが、裏地が絡む縫製は生地の質が違う部分だけに技術を要するパーツなので、若干当たり外れがあるかなと思います。

ちなみにスティッチについては、等間隔にキレイに仕上がっています。


ビッグヴィジョンさんの仕事の中で唯一の欠点は、通常の計測ポイント以外のカスタマイズについては、毎回お願いしないといけないという点です。
私は、①ベストを作る時には第一ボタンの位置を高めにする②パンツの裾幅は17cm程度 というカスタマイズを施すようにしているのですが、毎回伝えなくてはならないのが面倒です。

TROFEOは非常に良い生地ですが、唯一の欠点は、柔らかさゆえかシワになりやすい点です。 なので、出張などの長距離移動には不向きです。
シワを避けたい場合は、Ermenegildo ZegnaであればTRAVELLERが有名ですが、TRAVELLERは他のメーカーの防シワ対策済みの生地に比べてそこまでシワ防止機能が高くないので、要注意です!

2019年4月19日金曜日

Burberry BLACK LABEL のマリンコート

スーツの上から着用するコートって、なかなか個性が出しづらいです。 一般的なチェスターコートやダブルトレンチは持っているんですが、一般的な形であればあるほどオシャレ感は出なくなります。ただ、突飛なコートになると周囲から白眼視される始末。 そんな時に大活躍してくれるのが、こちらのBurberry BLACK LABEL のマリンコートです。

■マリンコートの定義 簡単に言ってしまうと「船員や海軍の士官が着用するコート」となります。兵卒ではなく士官なので、作業したりはしません。なので丈が長くて動きづらくても問題ありません。また、冬の海=周囲に建物が無いので風が直撃して体感温度が極端に低い、という図式から防風性能を高めています。但し、ダウンだと水に濡れると惨憺たる状況になってしまうため、生地の厚みで勝負しています。よって、保温性はそこまで高く無いので、インナーにニットなどが必要です。
これが一般的なマリンコートの定義ですが、Burberryのマリンコートも、ほぼそのまま定義を踏襲しています。
生地自体は相当厚めのメルトンなので、防風性能は非常に高いです(SchottのPコートを思い出します)。
■全体的なスタイル シルエットは一般的な細身のコートです。 縦型のポケットは手を突っ込みやすく使い勝手は良いですが、間口が広めで内貼りに起毛性は無いので防寒としては適していません。まあ通常冬の海ではグローブ着用が基本なので当たり前ですが。
このポケットの長所は性能よりも秀逸なデザイン性にあります。
ご覧の通り、入口部分で緩やかにカーブを描いており、たかがポケットにもこだわったBurberryの意思が感じられます。

ラペルが無くステンカラー仕立てになっていますので、スーツの上から着用してもソリッド感があって、オヤジ感が全くありません。しかも、丈もそこそこあるため変なモード系コートにも見えないので、大事な商談に着て行っても違和感はありません。

■目立ちポイント 襟元のチンベルトと腕のBurberryロゴが、まず目に入ります。 チンベルトは通常は使いませんが、アイテムとして目立つのでワンポイントで目を引く効果があります。

もう1点目立つのが、左腕に刺繍されたBurberryのロゴです。
お馴染みのペガサスロゴが綺麗に刺繍されていて、しかも主張しているのはこの部分だけなので、シンプルで好感が持てますね。
ボタンは全てシルバーで、ボタンホールの糸もシルバーに近い白なので非常に目立ちます。
ちなみに、ボタンには全てペガサスがあしらわれており、粗野な中にもエレガンスさが際立ちます。


袖口にも5つのボタンが配されており、全て外せる本切羽仕様です。
私は一番袖口に近い1個だけ外していますが、あまり外しすぎると袖口が広がってダサい感じになりますので、要注意です。




一般的なコートはON/OFFで着回しが効きづらいアイテムですが、このBurberry BLACK LABEL のマリンコートはビジネスで使ってもカジュアルで使っても、比較的シーンを選ばないスグレモノです。

2019年4月15日月曜日

Tramarossaはチノパンもやはり秀逸

Tramarossaのボトムスをいくつか所有しています。 「全体的にシルエットが細すぎる」という意見のかたもいらっしゃいますが、価格帯はPT01よりもやや低く、90cm以上の股下が確保されていて、尚且つスタイリッシュというボトムスのブランドはそうそう有りません。 INCOTEXは股下が短めでPT01は価格が高めで、Tramarossaはある意味理想的と言えます。 今回はRobertというモデルのチノクロスパンツをご紹介します。
ご覧の通り全体的に細身に仕上がっています。 テーパードもそれほどきつくなくて、太腿からふくらはぎへとほぼまっすぐに落ちています(写真で見ると、逆にフレアっぽく見えますね)。 裾幅が17.5cmあるので、スリムタイプのボトムスを着用すると度々発生するふくらはぎでの引っ掛かりが発生しません。 私は足が細い方ですが、スポーツをやっていた関係でふくらはぎにはそこそこ太さがあるので、裾が16cm未満だと相当に引っかかるんですが、このモデルではそれが起こりません。 というか、PT01とかに比べるとTramarossaのモデルは総じて引っ掛かりが起こりにくい気がします。 GTAやINCOTEXは所謂『脚長効果』にこだわりすぎていて、とにかくテーパードを強くかけて(=裾を絞って)足を細く見せようとしますが、Tramarossaはシルエット自体の美しさに気品があって、テーパードによる脚長効果を狙っていません。
にも関わらず美しいシルエットを生み出すのは、着る側とメーカーのコラボレーションが成功している証拠ですね。 生地感を季節で言うと、完全に春夏ですね。 麻のようなサッパリ感はありませんが、薄手なので盛夏でも耐えられそうな感じです。いわゆる高密度なチノクロス生地ではないので、硬さはほとんどありません。 薄手な分だけシワになりやすい感じはありますが、毎日着用したりしなければクリーニングもシーズンに1回で十分でしょう。 閑話休題的な話ですが、購入後タグを切りながら、いつものこの部分を切るべきかどうか迷います。
モデル名とかサイズとか入っているんですが、 手でも入れそうなミシン目が入っているので、手で千切ろうとするのですが上手くいきません。 見えない部分なので切ってしまっても構わないのですが、微妙な存在感が迷います。 また、これもいつも疑問に思うのですが、豪勢なブックレットに付いている謎のボタンは何なんでしょうか・・・。
特に使える箇所も無いのでスペアと言うわけではないですし、何かのシンボルにしてフィーチャーしているようでもありません。 使えそうなら使いたいとは思いますが、いつも処理に困ります。

前立てはボタンフライで、いつもの通り股上は浅めです。ボタンも3+1の計4つしかありません。

豪華なリベットで四隅を押さえられているパッチですが、起毛レザー仕上げになっていて豪勢です。
ただ、選択を繰り返すうちにヘタってしまうであろうパーツなので、若干不安ですが・・・。


尻ポケットはフラップ付きです。但し、ボタンは付いていません。
この「フラップ付きボタン無し」が個人的には結構気に入っていて、物の出し入れが簡単にできる上に誤脱も発生しづらいので、他のブランドでも採用して欲しい仕組みですね。


裾は二重に保護してあって堅牢性は高いです。恐らく靴と擦れて擦り切れてしまうようなことは無いでしょう。ただ、生地が薄い分だけ何だか貧弱な感じです。
これだけしっかり補強してあると、もう少し固まった裾口になるはずですが、フニャフニャした感じがしてしまうのは、若干残念な仕上がりです。


夏場に着用しても耐えられるチノパンは重宝します。
生地が薄いのでシワが心配ですが、着用3回に1回くらいにペースでアイロンがけを心がければ、それほど気にならないと思います。
薄手のホワイトデニムと共に夏季ヘビロテアイテム間違いなしの逸品です。

2019年4月12日金曜日

DIESELのデニムSLEENKERは極細なのに究極ストレッチ

決めているわけではないのですが、自分のワードローブを振り返ってみるとビジネス&ビジネスカジュアルは海外ブランド、カジュアルは国内ブランドが多いです。
オフの日に少しでも汚れる要素が多いカジュアルウェアに高額な海外ブランドを使用するのは気がひける、というのが大きな理由ですが、カジュアルなブランドは海外でも比較的安価な場合があるので、時々購入します。
その一つがDIESELですが、今回はDIESELのデニムをご紹介します。
ご紹介するモデルはSLEENKERという、DIESELのデニムの中でも最も細いモデルです。

wash以外の加工が入ったデニムはあまり購入しないです。
やはり自分独自のエイジングを楽しみたいというのが大きな理由ですが、DIESELのデニムは様々なアタリの入り方が比較的自然で、今回購入したSLEENKERも他にもいくつかのバリエーションがあったのですが、エイジング加工が入ったこのモデルを購入してみました。
腰回りのヒゲが変に強調されておらず、自然な感じが良いです。
若干外側に寄せてある感がありますが、履いてしまうとそこまで気にはなりません。
尻周りには目立つアタリがほとんど入っていません。
この辺もリアリティがあっていい感じです。

ちょっと気になったのが、右尻ポケットの中断に打ってあるリベットです。
かっこ悪いわけではありませんが、創業年をこういった形で主張するのが正解かどうか微妙なところ。
位置が一般的に見ない位置なので、若干悪目立ちしている感じがします。



見えない前立てボタンにもDIESELらしく気を遣っています。
マット感がある黒で塗っており、そこはかとない男気を見せています。
ポケット布袋もパープルとネイビーの中間色でエレガントなイタリアンブランドらしさを強調しています。

素材は綿/ポリ/ポリウレタンの混紡で、伸縮性能を向上させる目的でこういった配合になっていると思われます。



裾は極細の16cmです。
国産デニムではなかなかお目にかからない細さですので、ブーツとかは裾に収まらないものもあるでしょう。
但し、伸縮性は非常に高いので中途半端な丈のものとかでなければ、大抵のブーツは収まります(ブーツの履き口が広いものは歩きにくさが発生すると思われます)。


































床に置いて下からあおるように撮影すると細さを感じませんが、太腿から裾に向かって超絶細いです。
スタイルを補正するような器用さは、このデニムにはありません。体型がキッチリ現れます。
貶すつもりはありませんが、太めの人が履くと膨満感が目立ち、細い人が履くと貧弱さが目立ちます。
つまり、トップに何を持ってくるか、足元はどうするか、等いろいろと気を遣わせる部分が多いデニムです。

ご覧の通り伸縮性が非常に非常に高いので窮屈な感じは全くありませんが、スキニーを超えて細いので、デニム自体のシルエットを楽しみたい方には不向きなモデル、それがSLEENKERです。

2019年4月1日月曜日

ブルガリ ディアゴノプロ SD42Sの機能美は秀逸

ブルガリの時計は機能よりもデザインが評価されるケースが多いです。 ここ数年、どのメーカーもケース、文字盤、ブレスなど様々なポイントで斬新なデザインを取り入れる傾向が見受けられますが、ブルガリに関しては「ここ数年」というより常に挑戦し続けている感があり、好感が持てます。 そんなブルガリのラインナップの中で、機能美を持ったモデルとして密かに人気を集めているのが、ディアゴノ プロフェッショナル スクーバ (Ref.SD42S)です。 最大深度2,000m(6,570ft)という伝家の宝刀を提げて発売された当時は時計情報誌の紙面を堂々と飾る銘機で、今でこそ深度1,000m超えの時計がチラホラ見られますが、当時としてはROLEXのSea-Dwellerと並び称されるモデルでした。
私がこのモデルを気に入っている最も大きな理由は、やはり機能を取り込んだブルガリ独特なデザインセンスです。 ケースを正面から見ると、一般的な時計に比べてベゼル部分が相当に大きく取られるているのが分かります。
水圧からムーブメントを保護するために必要な処置としてそうなっているのでしょうが、風防ガラスから文字盤までの深さがより強調される構造になっており、いかにも「特殊な時計」といった雰囲気を醸し出しています。
それでいて、無骨な雰囲気の中に優雅な構造が際立つように設計されているあたり、まさにブルガリの真骨頂と言えるでしょう。 一応スキューバウォッチなので、ベゼルは回転するようになっていますが、正直回したことはほとんどありません。 実際回してみると、Rolexの回転ベゼルよりも1分毎の「カチッ」と言う感触が強いので任意の位置で止めやすいです。
ブレスはラバーでDホールディングバックルで留める形になっています。
このバックルは留めるための穴にゴミが溜まりやすいので、要注意です。
長期間クリーニングを怠ると噛み合わせが悪くなり着脱に苦労するようになりますので、最低でも半年に1回は掃除してあげた方が良いでしょう。
※この噛み合わせのパーツにゴミが溜まりやすいです。

ムーブメントは、ETA2892Aをベースにクロノメーター基準を自社でクリアしたモノを採用しており、その性能はお墨付き。
また、個人的にはガッチリしたリューズガードも気に入っています。

高機能スキューバウォッチだけあって、ヘリウムのエスケープバルブも備えていますが、何とく「押せる」感がする機能美の一つです。

いくつか保有している機械式時計の中で日差が最も小さいのが、このディアゴノ プロフェッショナル スクーバです。1週間通常に使用して2秒くらいしか進みません。
勿論、個体差もあるとは思いますが、頑丈なケースに保護されたシンプルな3針構造のETA社製ムーブメントでズレる要素はほとんどありません。
ブレスがラバーなのが個人的には改善して欲しいポイントではありますが、それ以外は完成度が高い良い時計と感じています。