2019年3月5日火曜日

SHETLANDFOXのAberdeen(アバディーン)はバランス感覚に優れた銘品

以前から書いていますが、英国の正統な革靴が好きです。 革底をオールソールで全交換して長年履ける点や、質実剛健ながらもエレガントさを忘れないデザインを気に入っています。 しかし、革靴本来の性能を比較した場合、和製のものも決して負けていません。 セメント工法で靴底を取り付けているものは除いて考えた場合、最も肌にあっているブランドは(リーガルの高級ライン)です。
1982年に誕生して一旦撤退した後に、2009年に再デビューを果たしました。
リーガルの高級ラインと言うよりは、SHETLANDFOXとしての独自の道を歩んでいる印象が強いです。
特徴ある構造(グッドイヤーウェルテッド製法とマッケイ製法の融合など)から、専用のシューツリーしか受け付けないモデルを作ってみたり、フランスのアノネイ社の素材(結構高価です)を長く使用していたり、職人さんの拘りを感じる姿勢には好感が持てます。
SHETLANDFOXのフラッグシップモデルはKensington(ケンジントン)というモデルですが、個人的にはイチオシのAberdeen(アバディーン)をご紹介します。

ちなみに、ご覧の通り中敷のロゴはSHETLANDとFOXの間に何か記号らしきものが入っていますが、実際にはSHETLANDFOXと1ワードでブランド名称を表記しています。

正統派英国紳士が履く靴の多くは、トゥの部分がぽってりと丸みを帯びていて、スリム感はあまり感じません。 その代わりと言ってはなんですが、全体的にバランスが整っており、古武士のように無駄のないエレガンスを醸し出します。 イタリアやフランスの高級革靴については英国のものと対局をなしており、トゥに向かって細っそりとスリムに仕上げて、スタイリッシュな出で立ちを構成しています。 このAberdeenに関して言えば、両方の良さを併せ持ったイイトコ取りのデザインになっています。 ご覧の通りトゥはチゼルまでは行かなくても、先端のトップ部分を削り取って横から見るとスポーツカーのような形状になっています(英国靴を車に例えると、普通のセダンですかね)。 幅についても同様にスリムに仕上がっており、土踏まずを大きく抉って、ヒールカップ自体も割と小振りです。 ただ、SHETLANDFOXの靴はほとんど全て英国の都市名がモデル名になっている事からもわかる通り、ブランドとしては「国産の正統派英国紳士靴」を標榜しており、このAberdeenも英国風なテイストを残しています。 例えば、ヒール部分ですが、ピッチドヒールみたいなゴリゴリのイタリアンテイストは用いず、一般的な円筒形を使っています。 これによって安定性が増して、非常に歩きやすくなっています。 コバのせり出しはそこまで大きくありませんが、グッドイヤーウェルテッド製法ならではの頑丈な見た目は確立しています。やはりマッケイよりもソールの厚みはありますが、トゥ部分の突起感を薄める効果も果たしてくれていますので、見た目的にNGでなければ許容範囲かなと考えています。

履いた感想を率直に記載すると、アッパーの皮革にはそこまで柔軟性は感じません。
ただ、「硬くて足が痛い」という状態は最初の2−3回で、その後はある程度の硬さは残しながらも通常使用には何の違和感も感じないレベルまで柔軟性が出てきました。
写真では分かりづらいですが、アッパーの色調は漆黒に近いブラックで、あまり茶系やネイビー系の色は混じっていません。

Saphir Noirのブラックで磨くと非常に気品のある輝きを放ってくれます。

価格帯としてはコードヴァンのものを除くと、2−5万くらいのものがボリュームゾーンになっていますので、海外のものに比べると比較的購入しやすく、品質は決して見劣りしないShetlandfoxは非常にオススメです。
また、有楽町のお店では毎年正月にB級品のセール(ほぼ半額)を行っているのも見逃せません。
B級品と言っても、相当目を凝らして見ないとわからないレベルの微細な傷やインナーの不具合なので、通常使用には支障ないものばかりです。
ご興味がある方は是非立ち寄ってみてください。

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