2018年12月2日日曜日

Dirk Bikkembergsのコートは超絶スタイリッシュな逸品

長年にわたってファッション業界を見ていると栄枯盛衰が激しいなぁと感じます。 昔好きだったブランドが好きではなくなって、いつの間にか無くなっていたりすると寂しい気分になります。 逆に昔好きだったブランドが未だに第一線で頑張っていると、頼もしくなります。 Dirk Bikkembergsもそんなブランドの1つです。 1989年のパリコレから表舞台でのキャリアを開始しているので来年で30周年です。 元々はメンズブランドだったんですが、後からレディースも展開し、現在では押しも押されぬ大ベテランになりつつあります。 傾向としては、ソリッドなデザインが中心(着る人を選びます)ですが、ミリタリーな要素やカラフルな展開を加えたりして、デザインの幅は底知れないものがあります。 Dirk Bikkembergsのアイテムは、それほど所有していないんですが、一番のお気に入りはスタンドカラーの中綿入りコートです。




■デザインとシルエットで勝負する Bikkembergsのアイテムは着る人を選びます。太っている人は基本的に着られません(勿論程度によります)。細身でモデル体型かそれに近い人しか着られません(違う人が着ても似合わない)。 自ずとマーケットは狭まるのですが、逆な言い方をすると、体型に気を遣った自制心のある人しか着てくれなくて結構と考えているのかも知れません。 このコートも「モデル向け」的な位置付けで、絞られた身幅と平均よりも長い腕丈にスタンドカラーが相まって相当エッジが効いています。 また、肩上部から袖先まで素材違いの切替しラインが入っていて、目を惹きます。


































ただ、それなりに幅があるラインなので悪目立ちすることはなく、肩章的なデザインでミリタリーっぽさを醸し出しつつ、長めに取られた腕全体的に細く見せる効果を発揮しています。 この辺りはBikkembergsの底力を感じる部分です。

おそらくデザインとしてのアクセントなのでしょうが、切り替えしの繋ぎ目にはスティッチが施されています。

































非常に美しいスティッチで手抜き感は全く感じません。
芸が細かいの一言では済まされないモノづくりに対するこだわりが響きます。

■スタンドカラーとロゴプレートでさり気なく主張
前立てのホックボタンを全て留めることは考えづらいですが、Bikkembergsとしてのセンスを強調するポイントになっています。

若干右側に被り気味のレイアウトがシンメトリー効果を出していて素晴らしいです。

二流のブランドだと、どこかに大きくブランドロゴを入れたりするところですが、Bikkembergsのやり方は以下の通りオシャレです。



判別できるかどうかくらいのサイズでシルバープレート(しかも頭文字だけのテキストのみ)を左ハンドウォーマー近くに配置しています。
更に感心させられるのは、Dの縦棒に極小で「Bikkembergs」と彫られている点です。
最早写真では全くわからないレベルですが、このシルバープレートを凝視されたことが何度もあるので、逆に注目されやすくなっていると言うわけです。
デカデカとブランドの宣伝をするものより、奥ゆかしく、主張をキッチリしている点は、神業レベルです。

ちなみに人から見られない裏地部分は、逆に死ぬほどブランドを押し出しています。



































着ている人に「お前はBikkembergsのコートを着ているんだぞ、間違っても太ったりするなよ!」と叱咤されてる気分にさせます。

■最低限の機能の中にもこだわりポイント満載 デザインを重視するあまり、コートとしての機能を過剰に省略しているケースをよく見ます(特にハイブランドに多い)。 勿論、海外セレブであれば0度近い寒さの中を歩くことは無いでしょうし、財布やら携帯やらを収納する必要も無いので、防寒具に機能を求めることは無いかも知れません。 ただ、私は一般人なので、そこそこ機能も求めています。 その点Bikkembergsは、一応機能にも配慮があります。 防寒性能は生地自体の防寒性が低いため、薄っすらと中綿を仕込んであります。厳冬期には厳しいかも知れませんが、東京の感覚で言うと、年間で最も寒い1ヶ月以外であれば十分な防寒性です。

また、随所に機能的なこだわりが詰まっており、前立てはジッパーとホックボタンの二重構造。


































そして、ハンドウォーマーには貴重品の誤落防止のため、ホックボタン付き。




































勿論、片側だけですが内ポケットも備えています。














々と書いて来ましたが、スタンドカラーでスタイリッシュ、しかも機能性も高いとなるとなかなかお目にかかりません。 長期間に渡って業界のトップランナーとして活躍し、サバイブしているデザイナーの鬼気迫る渾身の一作と言えるでしょう。
定価10万以上するコートですが、デザインや機能を考えるとその価値は十分あります。
個人的な趣味の世界ですが、ハンドウォーマーに手を突っ込むのではなく、意図的に黒のレザーグローブか何かとコーディネートして、一層エッジを効かせた雰囲気を醸し出したいアイテムです。


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