2019年1月7日月曜日

ラギッドながらも気品があるBUTTEROのB1101①

ブーツには様々な系統があります。 ①White'sやWESCOなどの本格的アメリカン派②Red WingやChipewaなどのカジュアルアメリカン派③欧州産のスタイリッシュ派④Rolling Dub TrioとかSlow Wear Lionなどあえて国産派 などなど。 私は①が多いんですが、稀に他の系統に浮気します。特に意識はしていませんが、「ブーツと言ったらアメリカでしょー」という先入観があるらしく、どうしても①に偏りがちです。 ただ、贅沢にもアメリカンなワイルドさとヨーロッパを感じさせるスタイルを両立させたブーツメーカーがあります。それがBUTTEROです。
BUTTEROは1974年に誕生したブランドで、後発なだけにイタリアンブランドには無い独特なアグレッシブさを持っており、ヨーロッパのブランドには見られないアメリカンな無骨さを前面に押し出したデザインのものが多々見受けられます。ブランド名の由来は、イタリアのトスカーナ地方にいる牧童(アメリカ風に言うとカウボーイ)のことをButteriと言うところから名付けられたと言われています(創業者のMauro Saniさんがイタリア各地を旅していてブッテリ達と出会って、そのスタイルにインスパイアされたところから名付けられたそうです)。 BUTTEROはイタリアの古都フィレンツェ郊外に本社を置き、近隣の工場で鞣されたベジタブルタンニンのレザーを用いて数々の逸品を生み出していますが、再生能力の高いレザーは世界的に受け入れられてBUTTEROファンを生み出しています。

今回はBUTTEROのB1101(色はebony)をご紹介したいと思います。


いざ開梱の儀。箱からしてどことなく気品がありますよね。

箱右側の影っぽくなっている部分は、照明の関係でこうなってしまったのではなく、箱自体にグラデーションがかかっている為です。
中にはお約束のシューバッグと説明書が同梱されています。


ヒールカップのすぐ上にブランドネームの刻印がさりげなく押してあります。

周囲からは見えない位置ですが、主張を感じますね。


B1101は、BROKEというラスト(木型)を採用しており、私個人的にはこのラストが非常に気に入っています。
トゥ部分は若干丸みを帯びていながらも程よいロングノーズ、スリムなシルエットの中にアメリカンな無骨さが漂っています。イタリアとアメリカという、ファッション界では全く違うテイストの特徴をうまく両立させています。

ヒールカップは、見た目は小振りなんですが、スペースはそこそこ広めで窮屈な感じはありません。
かといってブーツ内で踵が動いてしまうほどでもないので、Fit感は高い(=完成度は高い)と思います。

構造的にはマッケイ製法で作らており、長所はとにかく反りかえりが良いところです。 ご覧の通り相当反りかえっています。
他のブーツも履いていて屈曲時に抵抗を感じることはありませんが、ホワイツとかRedWingとかだと、しゃがんだ時(いわゆる蹲踞の姿勢)に後ろに持っていかれる(曲がったブーツのソールを元に戻そうとする)感じがあります。
このB1101については、反りかえりの柔軟性が非常に高くて、決してグニャグニャ感はありませんが、履いていて(と言うか、歩いていて)違和感を感じるような抵抗を何も感じません。
回りくどい書き方になりましたが、非常に履きやすいブーツです。
ちなみに、アウトソールにはフロントにゴムが敷かれており、滑り止め効果を高めています。


そして革質ですが、このB1101に使われているのは『PE-CUS』という種類の皮革で、ベジタブルタンニンならではのしっとりした柔らかさと、独特な染色によるラギッドな感じの色ムラを両立した素晴らしい仕上がりになっています。

しかも、肌理も細かいのでアメリカンなワークブーツとは一線を画している生産者の矜持が伝わってきます。

同じPE-CUSのB1101でも、黒(NERO)だとここまで色ムラは出ないと思いますので、ブラウン(Ebony)を選んで良かったと感じています。
パティーヌのような貴族的な色ムラではありませんが、粗野というより朴訥とした感じの色ムラは決して嫌味がなく、それでいて美しさを兼ね備えています。
この色ムラを維持するために、クリームは無色に確定ですね。
写真では伝わりづらいですが、色調としては黒に近いぶら

ハトメは職人さんが丹精込めて磨き上げたエイジング仕上げになっています。

イタリアメーカーらしく、ギリギリまで高くしたヒールもいけています(30mm以上あります)。
初めて見た瞬間は「1日履いていたら疲れそうだな」と、少し驚きましたが、実際にはそこまで前傾でもありません。


気に入っている点ばかり書いてきましたが、気に入らない点が2点ほど。 ①レザーのシューレースが雑すぎ 無骨な感じの演出するアイテムの一つかもしれませんが、標準装備の角紐が雑すぎて勘に触ります。 もう少し細めであればマッチしたのかも知れませんが、角が大きすぎるので雑感が否定できません。













シューレースが擦れて、細かい糸くずが出るのもちょっと癇に障ります。
そのうち糸くずも出なくなるんでしょうし、それがいわゆる「アジ」なのかも知れませんが、B1101が持っている気品を損なっている気がします。
②さすがマッケイ、履き心地がイマイチ マッケイの欠点の一つですが、グッドイヤーウェルトと比べるとコルク量が若干少なめなので履き心地が悪くなります。
もちろん、その分屈曲性が高かったり、軽かったり、長所もあるので仕方ありませんが、履き心地が悪いのは放置できないので何とかしたいと考えています。
というわけで、次回はBUTTEROのB1101を自分なりにカスタマイズして、①②の欠点を解消したいと思います。

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