2018年11月2日金曜日

HANCOCKのキルティングジレ

英国は雨が多いです。なので、雨天時に活躍するツール(傘、レインコート、レインブーツなど)のメーカーで結構良い会社が多いです。 HANCOCKもそんなメーカーの1つです。ハンドメイドのゴム引きレインコートで有名ですが、最近ではそれ以外のラインナップも豊富に揃えて、MackintoshやLAVENHAMに対抗する路線を強めています。 2012年に誕生したばかりなので、まだまだ歴史は浅いですが、Mackintoshでゴム引きレインコートに携わっていたダニエル・ダンゴ氏が立ち上げたアウターウェアブランドなので、商品の品質はある意味お墨付きです。 従来からあったHandmade Lineに加えて2015年から世に出され始めたTravel Lineのコットン製キルティングジレをご紹介します。






























■シンプルだけどセンスを感じるキルティング 
キルティングと言っても中綿ギッシリな感じではありません。むしろ中綿はごく少量に抑えた感じ。 保温性よりも見た目の美しさを追求する意味でキルティングが効果を発揮しています。 
ちなみにこのキルティングはVスティッチと呼ばれており、他のメーカーに多いダイヤモンドスティッチに比べるとキルティングのサイズが細かいです。
比較的手のかかる工程を選択することによって、他者との差別化に成功しています(Vスティッチの名前の由来は、Mackintoshの共同設立者のトーマス・ハンコックが確立した『ヴァルカナイズ製法』(=衣類をゴム成分でコーティングする特殊な製法)の頭文字です)。 
made in Scotlandということもあり細身に絞っている訳ではありませんが、構造的にシンプルなので実際の身幅よりも細く見えます。 デザイナーさんのセンスを感じたのは、袖口のパイピングと裾や首回りのエラスティックニット製リブです。 伸縮性の高いリブを上と下の両方に配置することによって、スポーティーな雰囲気を醸し出すことに成功している点で満点のデザインです。

※パイピングは極めてさりげないので目立ちませんが、有るのと無いのでは大違いです。


※上下に伸縮性のある素材を配置して、全体的な洗練されたイメージを情勢することに成功しています。

ちょっと気に入らないのが、両サイドのポケットの存在をスティッチで強調しすぎている点です。キルティングだけで十分に凝ったデザインが強調されているのに、上からポケットの縁部分にスティッチをかけるのは若干やりすぎな感がします。使い勝手は良いので、もうちょっと抑えめにした方が良かったのではと感じました。

■とにかく軽量 用いられている素材が軽いものばかりなので、約280gと相当軽量に仕上がっています。
コットンの表地は如何なものか?と最初は懐疑的でしたが、軽さを実感するとコットン製も悪く無いなぁと評価は変わります。 Travel Lineというくらいなので、「旅先に持って行って寒かったら着る」という位置付けかと思いますが、旅先でなくても衣服が軽いのは良いですね。 中綿はそれほど入っていないのでジレ自体の保温性は乏しいですが、コートやジャンパーのインナーとしても使えますし、用途の範囲は広いです。
■おしゃれなミニカタログ入り
英国のブランドにしては珍しくミニカタログの仕上がりが秀逸です。
他の英国ブランドだと必要最低限の内容しか掲載されておらず、

開くとジレ以外のキルティングアウター類(全てTravel Line)のラインナップが載っています。
至ってコンパクトですが必要十分な情報が載っているので、気に入った商品があればWebで調べるキッカケにはなりますね。


■生産地にも矜持を持ったブランド
最近生産地に誇りを持ったブランドが増えてきている気がします。EGの「made in New York」なんて好例ですね。

HANCOCKも同様に、ブランドネームの下にきっちりと「MADE IN SCOTLAND」と主張を忘れていません。

まだ若いブランドなので、これからもラインナップを定番商品だけで安定させず、良い意味で攻撃的に新作を発表し続けて欲しいところです。

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