2018年10月12日金曜日

Breguetのトランスアトランティック タイプXXI にはなぜハック機能がないのか

結構な数の機械式時計を所有しています。同じ時計をずっと使っている訳ではなく、週単位で着用する時計を変えるので、しばらく使用していない機械式時計は停止してしまいます。 しばらく使用していなかった機械式時計を久しぶりに着用しようとして、最も面倒なのは時刻合わせです。 ただ所有している時計のほぼ全てに、いわゆる「ハック機能(竜頭を引くと秒針が任意の場所で止められる機能)」が付いているので、正確な時刻に合わせるという行為自体はそれほど難しい作業ではありません。 このハック機能が付いていないと、時刻合わせは一気に難しい作業になります。 Breguet(ブレゲ)トランスアトランティック タイプXXI 3810(Ref.3810ST/92/SZ9 ) は、ハック機能が付いていないそんな時計です。

■ムーブメント
アエロナバルの派生形として誕生したトランスアトランティックですが、文字盤は酷似しています。
大きな違いはアエロナバルには無い日付窓が付いている点くらいです。
ムーブメント型式としては「キャリバー 584Qという自社製ムーブメントを搭載しています。
この機構にハック機能がついていないんですが、ハック機能がついていない時計を他に持っていないので、どうしても時刻合わせの際に違和感を感じます。
単純な機能なんですが、無ければ無いで相当にしんどい。
パワーリザーブは45時間なんですが、日付窓の無い「584Q/2」は48時間。
最近は72時間駆動が当たり前になってきているので、45時間とか48時間とかだと非常に短い印象を受けます。
見た目重視のラグジュアリーブランドですが、「正確な時を刻む」というムーブメントの基本性能に関してはまずまずで、新品購入して数年経ちますが、日差は+3秒程度と十分合格ラインをクリアしています。

■42mmの存在感 ボディの直径について、以前に比べると小径のものが流行の兆しを見せていますが、やはり多少の存在感を出したいという場合、40-42mmくらいは必要になります。 タイプXXIも42mmあるので、きっちり存在感出しています。
ただケースサイズ以上に存在感があるのが、ケースサイド部分の通称:コインエッジです。海外のコインでよく見かけるように(日本で言うとギザ10みたいな感じで)ケースサイドに縦に溝が彫られていて、チラッと見えるだけで存在感はバッチリです。


このコインエッジは、意匠的な美しさもさることながら、時計自体の厚みを強調させるデザインです。
ベゼル周りのの難点が1つだけあります。
ベゼルの天頂部分(12時位置)の逆三角形はちょっと頂けない感じです。

白の塗料のみで表現されていて、何かの弾みで硬いものと接触したら簡単にハゲてしまいそうで怖いです。
なぜ彫らなかったんでしょうか、疑問が残ります。
■最近の流行り?立体的な文字盤 最近よく見かけるんですが、文字盤が二重構造になっていて立体的に見えます。
ストップウォッチ機能の計数盤やGMT針の表示板がなぜか二重構造になっていて、各盤にちゃんと針があるので特に板自体が動くわけではないです。 ムーブメントには何の関係も無いので、装飾の一環としてそういう構造にしてるんでしょうが、芸が細かいところは、さすがブレゲと好印象です。ただ、機能としては特に意味はありません。
■ホールド感はイマイチのシングルバックル ベルトはシングルバックルで、バックル自体のロック機能以外には、ROLEXのダブルロックやOMEGAのPUSHボタンのような補助ロック機構はありません。
また、時計のサイズや重量に対してバックル自体が少し小さめ。その分だけ時計自体のボディの揺れに対して若干心許ない感じです。 もちろん、誤脱という事故につながるほどではありませんが、バックルが小さいことによる本体の揺れには慣れが必要です。
外す際にはボタンとかがあるわけでは無いので、隙間に指を挟んで力で引っ張るだけというシンプルなものです。この辺も見た目には気を使うけど、機能的には未成熟というブレゲらしさが出ています。

※バックルらしいバックルはついていませんが、ブランド名を入れるのは忘れていません。

※この状態にはするには隙間に指を挟んで上に持ち上げるだけ。慣れれば大丈夫ですが、最初は少し怖いです。
■こうなったらお飾りに過ぎないGMT(24時間)針 デザイン面では完成されているので全体的に気に入ってるんですが、そんな中でもちょっと違和感を感じるのは、Breguet(ブレゲ)では「デイアンドナイト・インジケーター」というカッコいい名前で呼ばれているGMT針です。
何に違和感を感じるかと言うと、日付が変わる瞬間(つまり夜中の12時)の針の位置です。 私も世の中全てのGMT機能付きの時計をチェックして分析したわけではありませんが、今まで見た範囲でいうと、ほとんどが天頂部分で日付が変わる運針になっています(つまりお昼には針が真下(6時位置)に来る)。 それがこの時計の場合(と言うかブレゲに関してはほぼ全て)、6時位置(つまり天頂ではなく地面の位置)で日付が変わるように設定されているのです。 それほど頻繁に見るわけでは無いのですが、時刻合わせの際には必ず「?」となってしまいます。 もちろん、そもそもクロノグラフの全ての機能を使い倒している訳ではないので、クロノグラフ自体が「お飾り」の寄せ集めみたいなもんなんですが。

■文字盤のデザインは秀逸すぎて文句がありません

悪口が多くなってしまいましたが、Breguet(ブレゲ)の真骨頂は文字盤の美しさです。



※時針や分針のシルバーの縁取りとか先細りデザインは見るものを魅了します。

芸術性が高くて一見するとダサい感じのアラビア数字も、デザイン全体にうまく溶け込んでいて野暮ったさが無い。スイスのメーカーですが、フランス製品のような洗練された美しさがあります。
最近、バーゼルのたびにどんどん新しいモデルを投入してくれるBreguet(ブレゲ)ですが、次はタイプXXIIとかにチャレンジしたいです。

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